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賃金未払い、不安定な雇用…スクールカウンセラーが告白「劣悪すぎる労働条件」

ビジネス

 子どもの貧困やいじめなど、子どもの育ちにかかわる問題がさまざまに広がる現代社会。教員だけでは対応が難しい複雑・多様な子どもの問題への対応を担う職種のひとつが「スクールカウンセラー」だ。

スクールカウンセラー

※画像はイメージです(以下同じ)

 そのほとんどが臨床心理士・公認心理師資格を持っており、子ども、保護者、教員の相談にのり、かつ連携しながら、子どもの育ちにかかわる問題に専門的な見地から対応している。しかし、その専門性・公共性の高さにもかかわらず、スクールカウンセラーの待遇は不安定・劣悪だ

 心理職の労働組合「心理職ユニオン」が、2021年9月から10月に都内公立校のスクールカウンセラー向けに実施したアンケート調査「東京都SCアンケート結果」からは、違法な未払い残業が広範に存在していることや、強い雇用不安が大きなストレスとなっている実態が浮かび上がった。

スクールカウンセラー歴15年の実態

 今回、心理職ユニオンのメンバーである加藤美緒さん(仮名)に話を聞いた。加藤さんは、高校生のころから、障がいを持つ子どもやその家族の支援をしたいと思い、臨床心理士資格を取得した。臨床心理士としての経験は20年以上で、中学校・小学校のスクールカウンセラーとしての経験も15年以上になる。

 家庭内でのネグレクトや性虐待の問題に対応することもあり、「とても緊迫感のある仕事」(加藤さん)だという。基本的には、教員と連携・協力しながら子どものさまざまな問題に対応するのだが、その中では、心理の専門家として教員とは別の視点からの助言を行う場合もある。

「学習面や集団生活で配慮が必要なお子さんについて、担任の先生が特別支援学級に移ることを保護者に提案することもあるのですが、提案された保護者の方が悩まれてスクールカウンセラーに相談することがあります」(加藤さん)

先生本人に問題を伝えることも

スクールカウンセラー

話を聞いたスクールカウンセラー加藤美緒さん(仮名)

「あるケースでは、先生が“通級”(特別な支援を必要とする児童が通常学級に在籍しながら個別的な支援を受けるために通う特別支援教室)を利用している児童の保護者の方に、『お子さんには通級の友達しかいませんよ』と言って、特別支援学級への移行をすすめたそうです。保護者の方がとてもショックを受けて私のところへ相談に来ました。

 話を聞くと、その保護者の方は、学校入学前から複数の専門機関に相談に行っていて、それらの助言や検査結果などに従って通常学級を選択していたそうです。とても悩まれて、さまざまな機関に相談して、判断されていたんですよね。このケースの先生の対応は、そうした保護者の方の悩みや葛藤を理解せずに差別的発言を行っていて、問題があると思い、先生本人に率直にそれを伝えました

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