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「まず~い、もう一杯!」キューサイ新社長が「目指したい」ヘルスケア分野のアマゾン

ビジネス

 かつて名脇役の八名信夫さんが出演した「まず~い、もう一杯!」の青汁CMでおなじみの健康食品大手・キューサイ株式会社。2022年3月に同社が“プロ経営者”を社長に迎えたことが、ビジネス界で話題になっている。

キューサイ

一定以上の世代の場合、あのCMの印象がいまだに強いだろう

 新たにキューサイの代表取締役社長に就任した佐伯澄氏は、東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)、住友商事を経て、アマゾンで生鮮食品配送サービス・アマゾンフレッシュを立ち上げた人物。

 住友商事時代にはフランスのメディアコングロマリット・ラガルデールとの合弁事業、ニュージーランドの野菜果汁メーカーCEO(最高経営責任者)なども経験。EC(電子商取引)や食品分野の経営で手腕を発揮してきたプロフェッショナルだ。

 キューサイの新たな舵取りを任された佐伯社長が掲げるのが、「お客さまのウェルエイジング支援No.1企業」。その実現のために「原点回帰の逆張り」をするという。キューサイの原点とは? 一体どのような成長戦略を描いているのか? 佐伯社長に話を聞いた。

キューサイのこだわりに心が動いた

――キューサイは2021年にアドバンテッジパートナーズ、ユーグレナ、東京センチュリーが出資するQ-Partnersの傘下に入りました。その新体制でキューサイ社長に就任することになった経緯は?

佐伯澄(以下、佐伯):私は商社やアマゾン時代も含めて、リテール(一般消費者向けの小売り)寄りのビジネスを手掛けてきました。次のキャリアでもお客さまに寄り添ったモノづくりの現場で経営に携わりたいと考えていた時に、Q-Partnersさんに「今後の戦略を一緒に練ってもらえないか」と声をかけていただき、キューサイの社長に就任することになりました。

 私が事業経営を引き受ける際の唯一のポイントは「お客さま起点で考えられる会社かどうか」。それだけなんです。キューサイの(青汁原料の)ケール農場に来ていただければ分かるのですが、手をかけて育てた本当に質の良いケールしか使っていません。少しでもダメだと「これは商品にはできません」と絶対に使わないんです。

 キューサイほどお客さま起点のクラフトマンシップを持った会社は、世の中になかなか存在しないと思います。リテールを長く経験していると分かるのですが、「良い技術があるから売り方を考えよう」という商品起点の会社はあまりうまくいかないことが多いですが、逆にお客さま起点の会社は間違いなく成功します。社長を引き受けた最大の理由は、キューサイがお客さまに徹底的に寄り添っている会社だからです。

カスタマージャーニーが近年大きく変化

キューサイ

健康や美容に欠かせない栄養素を約60種類以上含んでいるという「ケール」

――すでに消費者に広く知られている会社ということは強みだと思いますが、今後の課題は?

佐伯:現在のキューサイは「青汁」をはじめとしたヘルスケア事業、「コラリッチ」などスキンケア事業が売り上げの大きな柱です。おっしゃる通り、青汁のテレビ通販を中心にお客さまとの強力な接点を築き上げてきたことは、私たちの大きな財産です。

 しかし、近年はカスタマージャーニーが大きく変化し、テレビで見てインターネットで注文するお客さまもいれば、ネットで見たけど実際に商品を触ってみたいという方もいます。さらに、口コミや自身にマッチしたリコメンドを重視するなど、商品だけでなく、人生の“横ぐし”になるものを求められる傾向があります。

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