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ウクライナショックから考える仮想通貨の使い方、個人投資家が気をつけることは

コラム

ロシア人にとっての仮想通貨

プーチン大統領

MOSCOW, RUSSIA – DEC 19,2013: The President of the Russian Federation Vladimir Vladimirovich Putin © Igor Dolgov | Dreamstime.com

 今回、ロシアに住む人やルーブル通貨圏の人にとっては仮想通貨が資産を減らさないための資金避難先として適していると考えます。それは、通貨であるルーブルが半値以下になっても、ビットコインはルーブル建てでは4割上昇しているからです。つまり、通貨の下落をビットコインが補ってくれたことになります。

 ウクライナの通貨に変化がないのは、筆者としては意外でした。今、ウクライナ政府は仮想通貨やNFTで資金調達を行っており、世界中から支援金を賄う体制を構築していると考えられます。私達がウクライナに対してできる支援の幅や、支援までの心理的な距離が近くなったと考えることができそうです。また今後、日本における有事の際に、同様に各国から通貨ではなく仮想通貨などの非伝統的な手段での支援を受けられることを学べそうです。

 日本円の通貨圏に住む私達にとっては、仮想通貨は投資や投機の対象かもしれません。しかし、今後の有事を想定すれば、一部の資産を仮想通貨に交換し、いつでも仮想通貨を購入できるよう事前に仮想通貨の口座を保有しておくことも必要でしょう。

有事の際はP2Pでの送金授受の準備も大事かも?

 今回筆者が注目をしているのはP2Pとよばれる、銀行などを介さない資金授受の仕組みです。ロシアとウクライナの通貨は暴落すると考えており(実際はウクライナ通貨は変化なし)、ビットコインなどの仮想通貨は政府の規制で止められるのではないかと予想していました

 そこで、残る手法のひとつがP2Pによる送金ではないかと思ったのです。大金を送金するのではなく、クラウドファンディングのような形で個人が世界中の人から支援を受け、その資金を受け取る方法としては、P2Pが適しているのではないかと考えます。あまり詳しくないので、想像の域を出ていない点はご容赦ください。

 今回のウクライナ侵攻で筆者が心配しているのは、日本における有事です。本稿執筆時点では、ロシア艦隊が津軽海峡を横断したというニュースを確認しました。北朝鮮はミサイルの発射を続けています。中国が隣国の台湾に侵攻したら、沖縄を含めて西日本はどうなるのか?など不透明な状況ですが、複数の有事が想定されます。

 万が一、戦火に見舞われても命を守ることができれば、生活は続きます。生活が続くのに資金がない状態では支援を待つしか有りません。そのような受動的な状態にならないよう、自分なりの生き抜く手段を準備しておくことが大切なのだと感じました。

<TEXT/ファイナンシャルプランナー 高橋成壽>

1978年生まれ、小学4年時に株式投資に興味をもち、大学在学中に株式投資を始める。慶應義塾大学を卒業後、金融系のキャリアを経てファイナンシャルプランナー事務所を設立。シングルマザーから上場企業の創業者まで幅広い顧客層が特徴。有料のFP相談の他、無料の専門家マッチングサービスとして「ライフプランの窓口」「住もうよ!マイホーム」「保険チョイス」他を運営。東海大学非常勤講師。連載:SankeiBiz、会社四季報オンライン、Yahoo!個人。著書『ダンナの遺産を子どもに相続させないで』(廣済堂出版)
Twitter:@fpooji

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