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給料は増えない、物価上昇…「急激な円安」の背景。何がまずい?どう対処すべきか

コラム

 替相場で急激な変動が起こっています。年初に1ドル115円前後だった為替レートが130円に迫っています。1ドル115円から130円のように、日本円とアメリカドルの様に外国通貨の交換レートの数値が増えていくことを円安といいます。特に、今回は日本円と米ドルの交換レートのため、円安ドル高の状態です。

年収

※画像はイメージです(以下同じ)

 そこで、円安ドル高の生活への影響を、ファイナンシャルプランナーの筆者(高橋成壽・@fpooji)がお伝えします。

円安は日本にとってプラスに働く?

 まずは素朴な疑問を抱く人もいるでしょう。「円安で何がまずいの?」と。今まではどちらかというと、円高が景気に悪い影響を及ぼし、円安は歓迎される雰囲気でした。というのも、円安になると、輸出関連の企業にとってはビジネスチャンスです。為替レートが円安になると、外国の通貨で考えると日本からの輸入品を割安な価格で購入することができます。

 価格が相対的に割安になることで、価格競争力が増すことになります。一方、日本企業にとっては商品の円換算価格が増えますから、円建ての売上が上昇するとともに、相対的に自社製品が割安になり、売れ行きが良くなります。

 日本にとって良い円安も、外国にとっては自国製品が割高になるため、為替レートが円安に振れると、アメリカなどから為替レートを調整してほしいというメッセージが届いていました

円安になると何がまずいの?

円安

 一方で、今回は日本国内では円安が歓迎されていません。なぜでしょうか。大きな要因として物価が上昇し始めたから、ということがあげられます。2021年の後半から電気代やガス代が値上がりし始めました。原油価格などエネルギー関連の価格上昇に伴い、生活に欠かせない支出が増え始めたのです。他にも、食品の値上げのニュースが増えているように、日本経済全体に物価上昇が起きています。

 このような状況にあって、エネルギーや食料の多くを輸入に頼る日本では、円安によりエネルギーや食料輸入時の円価格が上昇しています。これは、企業にとって仕入れ価格の上昇になるため、利益を確保するには値上げという形で商品価格に反映せざるを得ません。

 今までは、企業物価の値上がりは消費者に届く前に企業努力で解消されてきました。しかし、企業努力にも限界があるため、ここにきて商品価格に反映されてきています。原油価格の高騰と円安に伴う価格上昇は、包装用プラスチック製品などの価格にも反映されますから、短期的には物価上昇が収まるとは言えない状況です。

 給料が増えない状況において、生活必需品である光熱費や食費の高騰は家計にあたえるダメージが計り知れません。まだ物価上昇について体感の無い人も、これから痛切に感じるタイミングが来るでしょう。

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