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映画『スタンド・バイ・ミー』を深く読み解く“5つのポイント”。劇中の「車」が象徴するのものは

 2021年5月28日よる9時30分より、金曜ロードショーで『スタンド・バイ・ミー』が地上波放送されます。本作は、「子どもの頃は良さがわからなかったけど、大人になると本当のメッセージに気づいて感涙してしまう」映画であるとも、よく言われています。

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※画像は日本テレビ公式サイトより

 どういったことに、大人になって気づくのか。その具体的なポイントを、「5つ」の項目に分けて解説していきましょう

※以下からは『スタンド・バイ・ミー』の結末を含むネタバレに触れています。まだ映画を一度も観たことがないという方は、先に本編を鑑賞することをおすすめします。

1:親友の意義を教えてくれる

 本作は、少年期のかけがえのない友情を描いた物語です。もっと言えば、「子どもの頃の親友は、周りの大人や親以外の、大切な価値観を与えてくれる存在である」ことを、改めて提示しているようにに思えるのです。

 劇中の少年たちは、家族との関係や、将来の不安に悩まされています。例えば主人公のゴーディは、父が死んだ兄のことばかりを気にかけて、自分を理解しないでいることを嘆いていました。しかし、リーダー格のクリスは冒険の途中でゴーディに「僕って変?」と問われると「それがどうした? 誰だって変さ」と諭してくれる上に、「神様は、おまえに物語を作る才能を与えてくれたんだ」などと作家の夢を応援してくれます。

 子どもの頃は、周りの大人たちの存在、特に親が絶対の価値観になりがちです。しかし、実際はタイトルおよび主題歌の「stand by me」の意味「側にいてくれる」「応援してくれる」が示すように、そうした立場の人、特に同世代の親友は、それが全てじゃないと教えてくれる。本作の最大の意義は、そこにあるのではないでしょうか。

 冒険の終わりにゴーディが「なぜか町が違って見えた。小さく感じられた」と思ったのは、その場所が世界の全てであった彼が、もっと大きな世界と新たな価値観を知ったためです。それは転じて、「大人へと一歩進んだ」瞬間でもあるのです。誰しもが子どもの頃に一度は経験する、世界と価値観がガラリと変わる人生の一幕。それが普遍的に多くの人の心に響くからこそ、『スタンド・バイ・ミー』は青春映画の名作として語り継がれるのでしょう。

2:パイ食い競争の物語からわかること

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 多くの方の印象に残るのは、冒険の途中でゴーディが話す「パイ食い競争の物語」でしょう。「ゲロが盛大に噴出しまくる」という画的なインパクトが強いシーンですが、意味もなく挿入されているわけではありません。話し終わった時の少年たちのリアクションに、彼らそれぞれの性格がしっかり表れていることに、ぜひ注目してほしいのです。

 例えば、メガネをかけた少年のテディは「ラストだけ気に入らねえ。そいつは家に帰って父親を撃ち殺して、逃げてテキサス決死隊に入るのかもしれないぜ」と言っていました。

 おそらく、テディは「自身を虐待をする父を殺したい」という暗く恐ろしい願望を持っていたからこそ、自分の理想とする結末を語っていたのでしょう。一方でテディは、ノルマンディー上陸作戦で活躍した軍人だった父のことを心から尊敬しており、父を侮辱された時には涙を流しながら激昂していました。だからこそ「テキサス決死隊に入る」という形で、自身も父と同じように戦う立場の人間になる未来を望んでいたのではないでしょうか

 そんな矛盾に満ちているテディに対して、太っちょのバーンは単純です。「1つだけ気になるんだけど、そいつは参加費を払ったの?」と、物語内のお金のことを気にしていました。彼は家の床下に隠したへそくりを9か月間も探し続けていたり、必要のないクシを橋から落として嘆いたりと、どうしようもなく執着心が強い性格でした。だから、物語の主人公が「金銭的には損をしている」ということが許せなかったのでしょう(そんなバーンが、冒険の終わりに「1ペニー拾った!」ことで喜んでいるのにも笑ってしまいます)。

 そして、クリスは「今の最高だよ! 傑作だと思う!」と絶賛した以外は、ゴーディの話す物語に肯定も否定もせず、(他の2人が物語に文句をつけたためか)「なあバーン、ラジオはどこだ? 音楽でも聞こうぜ」と話題を切り替えようとしていました。クリスはゴーディの作家の夢、物語をつくる才能をとことん応援したい立場だからこそ、そのような態度を取ったのかもしれません

 それでいて、パイ食い競争の物語は「弱い立場の人間をバカにしてきた周りの大人たちが思いっきり復讐される」というものでした。小さな町で、親や大人たちに抑圧されてきた4人の少年たちにとって、それは共通で「ざまあ!」と痛快に思えるものだったのです。テディの希望には沿わなかったものの、ゴーディには十分に「必要とされる物語」をつくる才能があったと言えるでしょう

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