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中国への圧力は?トランプ氏とバイデン新大統領「対中政策」の差

ビジネス

 ジョー・バイデン新大統領は本格的な政権発足に向けて人事構想を進めている。これまでのところ非白人や女性を起用することで、人事でも多様性を示そうとしている。一方で、対外政策においても徐々にその姿勢が明らかになってきている。

バイデン

写真はバイデン氏の公式ツイッターより

 2020年11月12日、菅義偉首相と電話会談をした際、バイデン氏は尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用範囲になると言及した。中国側からするとこの時点で、今後4年間の対中姿勢が基本的に変わらないことが明らかとなった。しかし、トランプ政権とバイデン政権では「中国への圧力の掛け方」において大きな違いがある

バイデン政権の対中政策は

 多国間主義、国際協調路線を重視するバイデン氏。新型コロナウイルスの感染拡大以降に進む「日米豪印のクアッド協力」や「インド太平洋構想」などについては、バイデン政権下で動きがさらに加速化する可能性が高い。

 ちなみに、副大統領に就任予定のカマラ・ハリス氏がインド系ということで、米印の関係もトランプ政権以上に緊密化するかもしれない

 また、バイデン氏は人権問題も重視しており、新疆ウイグル自治区とチベット自治区などの少数民族問題について、副大統領時代(バラク・オバマ政権)に「ジェノサイド(集団虐殺)」と強く非難している。また香港での民主化弾圧についても、トランプ政権以上に中国に圧力を掛ける可能性があり、ここでもクアッドや欧州との関係を重視すると見られる。

 一方、経済の分野においても米国の対中圧力は続くことだろう。米中貿易戦争とも呼ばれるように、トランプ政権は関税制裁や輸出規制を連発してきた。トランプ政権の不透明性はなくなるだろうが、バイデン政権は多国間アプローチで中国に対抗していくことが予想される。

正反対に見えるトランプ氏とバイデン氏だが…

ドナルド・トランプ

ドナルド・トランプ photo by Lightpainter

 トランプ大統領が取り組んできた対中政策の全てがバイデン政権で緩和される可能性は低い。とはいえバイデン氏も中国経済への依存を少なくする方針なので、トランプ政権下とは違った新たな米中間の経済覇権が展開されそうだ

 トランプ氏とバイデン氏は性格や考え方、ビジョンなど全てが正反対のようにみえるが、中国への対抗意識や非介入主義という部分は似ており、継続性がある。

 中国は、トランプ時代は米国との真正面の対立、“バイ(二国間)”の脅威に直面してきたが、バイデン時代では“マルチ(多国間)”の脅威に直面することを警戒しているはずだ。

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