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キーエンスのスゴすぎ20秒面接、説得面接、ビデオ面接。元社員が語る

学び

ビデオ面接での「3つの要素質問」とは

 まず、私が実際に出された3つの要素質問を中心に、さまざまな過去事例を見ていきたいと思います。

・クリエイティブ能力が高い人の特長を3つ挙げてください
・コミュニケーション能力が高い人の特長を3つ挙げてください
・営業として必要な要素を3つ挙げてください
・起業する際に必要な能力を3つ挙げてください
・リーダーシップがある人の特長を3つ挙げてください
・組織のパフォーマンスを最大化させる要素を3つ挙げてください
・組織に前向きな人がいることのメリットを3つ挙げてください
・こちらが話を聞いていると相手に思わせるための要素を3つ挙げてください
・影響力のある人とはどんな人か3つ要素を挙げてください
・後輩社員を指導する上で注意することを3つ挙げてください

 と、おおよそこのように「ある命題に対してその構成要素を3つ答える」という質問が課されます。そして結論から言うと、これは「論理的思考力や思考のキレ・スピードを測っている」と想像がつきます。説得面接がコミュニケーション能力寄りだったのに対し、ビデオ面接では思考力寄りと言ったところでしょうか。

 それでは、実際の回答例を踏まえて、この質問に対する考え方を見ていきましょう。

回答の考え方は3パターン

選択

 3つの要素質問の考え方は次の3パターンだと考えています。

① 三項三つ巴(どもえ):~ A × B × C ~
② 含有:~ C(A × B)~
③ 前提:~ C + A × B ~

 あくまでも、これらは筆者独自の思考&ネーミングです。それでは順番に見ていきましょう

① 三項三つどもえ:~ A × B × C ~

 最初に紹介するのは「三項三つどもえ」という、3つの要素を導くパターン。これは「守破離」や「走攻守」、「心技体」など、論理的に抽象度が並行にある3要素を選択する手法になります。私は実際、「クリエイティブ能力が高い人の特長を3つ挙げてください」と質問をされたのですが、その回答としては三項三つ巴方式を用いて「論理 × 感度 × 知識が高水準であること」と回答しました。

 理由づけとしては、

「知識=クリエイティブの源泉となる事前知識の群衆の中で、
感度=関連付けられそうな知識をピックアップ出来る感度と、
論理=それを実際に繋げて実装できる論理的思考力、
これらがクリエイティブを構成するためには求められる」

 というように回答しました。この「三項三つどもえ」の特徴は、どれかひとつでも欠けると話が成り立たないことにあります。

 そして、この思考法が今回紹介する3つの中でもっとも難しいと言っても過言ではありません。それはなぜでしょう? 余談にはなりますが、そもそもわれわれ人類の脳は「二項対立がもっとも理解しやすいようにできている」と言われています。

 例えば、男と女、大人と子供、勝ち組と負け組……。特に近代以降、人類は物事を二項対立で考えてきており、その他ついては「例外」という言葉でまとめて思考を放棄してきた背景があります。これらを踏まえ、人間は二項対立を都合よく考えられる脳の作りになっているとともに、要素が2つから3つになった途端物事を論理的に考えるのが難しくなってしまいます。

 〇×〇の掛け算は比較的簡単にできますが、〇×〇×〇となった途端に頭が拒否反応を起こしませんか? これも人間が二項対立の方が得意という特徴の表れだったりします。よって、キーエンスを志望する学生は、まず初めに後述の2つの思考法を試し、レベルが上がってきてからこの三項三つどもえに挑戦すると良いでしょう。

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