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ユニクロの好調を支える「有明プロジェクト」とは?ヒット商品も刷新

ビジネス

 過去最高の売上高2兆1300億円を2018年8月期に記録し、世界のアパレル企業の第3位に位置しているユニクロ。

ユニクロ

ユニクロ © Viacheslav Dubrovin

 業績を大きく押し上げたきっかけとなったのは「有明プロジェクト」と呼ばれる社内の変革です。4月9日放送の『ガイアの夜明け』(テレビ東京)では、世界ナンバー1のアパレル企業を目指すユニクロの挑戦が紹介されました。

お客の要望を即座に反映する仕組み

 ユニクロは、従来型の縦割りの組織を解体し、これまで東京・赤坂の本部で勤務していた「商品企画」「生産」「マーケティング」など約1000人を、有明本部の1フロアに集結させるというフラットな組織作りを進めてきました。これがユニクロの業績を押し上げた「有明プロジェクト」です。

 この取り組みの中でも中核をなすのが、「ユニクロ」を運営する、ファーストリテイリングの創業者で会長の柳井正氏の肝いりで立ち上げられたという、精鋭11人のチームで構成されたカスタマーセンターです。

 ユニクロのサイトに投稿される約30万件のレビューを拾い上げ、開発チームに共有し、新商品の開発に反映させる役割を担っています。また、山口県の本社にあるコールセンターもただのクレーム処理に終わらせずに、顧客の要望を徹底的に聞き取り、有明の本部と情報を共有するようになりました。

 顧客の声を積極的に収集する仕組みづくりと、即時にそれを商品に反映させる組織作りによって、顧客が本当に望む商品を次々に世に出すことができるようになったのです。

ヒット商品「ワイヤレスブラ」もフルモデルチェンジ

ワイヤレスブラ

※画像は公式サイトより

 ユニクロのヒット商品のひとつに「ワイヤレスブラ」がありますが、今年1月に独自に開発した新構造カップを採用した新モデルが発売されました。フルモデルチェンジされたカップは、新たに放射線状の切れ込みが入り、胸のサイズに合わせて伸縮するというものです。ホールド感がアップし、バストの揺れがさらに軽減されたといいます。

 また、通常のブラジャーは約50種類のサイズ展開が必要ですが、伸縮するカップの構造によって、6種類にまで軽減することに成功しました。ただ、これについては顧客から「サイズがアバウトすぎるのでは?」という戸惑いの声が上がっていました。

 番組によると、この声は課題として担当のMD(マーチャンダイザー)に共有され、すぐさま解決に乗り出すことが決まりました。接客時にそれまで行っていなかった店内でのメジャーリング(採寸)をし、サイズの案内をすることにしたのです。また、メジャーリングを行った際に集めた顧客の声に「アンダーバストがきつい」という意見があり、MDはそこに注目しました。発売からわずか1か月後には、アンダーバストのサイズを1.5センチ伸ばすことが決まります。

 このように、顧客の声をすぐ反映させることが、「有明プロジェクト」の目的のひとつです。柳井会長は番組のインタビューに「お客様が思っているよりも『新しいな 本当にいいな』という、お客様の期待を超える服を作っていきたい」と語ります。顧客の意見を吸い上げ、商品の課題を発見しそれを即断即決で改善していくというのが、新しいユニクロの姿なのかもしれません。

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