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「飲み会の企画書提出して」幹事の新人社員を指導するイタい先輩

コラム

最後はYさんが良いところを持っていった

「飲み会について」の会議は、都度Yさんによって開催されていたそうですが、会の2週間前から定例会になったと言います。

「『こんなんじゃ間に合わないから』とYさんが言い出し、3日に1回定例会が開かれて、そこで進捗報告をさせられました。さすがに殺意が湧いたんですけど、あと2週間の辛抱だと我慢しました」

 用意周到に準備された飲み会は成功したのでしょうか。

「当日のスケジュールも分刻みで作らされて、司会の台本も用意したのでさすがに成功しましたね。余興も盛り上がってみんな楽しんでくれました。でも、最後の諦めのあとに、Yさんがしゃしゃり出てきたんです」

 Yさんは「今日は新人さんも慣れないなりに、一緒にがんばってくれましたー。僕の指導によくついて来てくれました。幹事を手伝ってくれてありがとう!」と、さも全て自分がやったかのようにアピール。「そうなる予感は薄々と感じていたので、もはや驚かなかったですね」と葵さんは淡々と振り返ります。

新人社員が学んだ「諦めの飲み会哲学」

凍結路面を歩く人

 葵さんは飲み会を振り返ります。

「みんなが楽しんでくれたから、それはよかったです。運営や準備の面で学ぶこともありました。でも、一番の学びは自分が中堅社員になっても、Yさんのような先輩になってはいけないということですね」

 ちなみに飲み会の翌日、葵さんはYさんに「SEE項目も追加して企画書を再提出してね」と言われたとか。

 葵さんとしては、殺意を覚えながらも今回の幹事で学ぶこともたくさんあったようです。とはいえ、個人の欲求を満たすために新人を必要以上に巻き込むのは勘弁してほしいところですね。

特集・[飲みハラ]実況中継 Vol.12 ―

<TEXT/瀧戸詠未 イラスト/デザイア恵利>

フリーライター。教育、ビジネスを中心に記事を執筆中。お酒と食べ歩きとひとり旅が趣味

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