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仕事ができない社員に振り回されるフリーランスの悲劇

学び

「上司を出せ」の一言で担当者の態度は一変

 これまでめちゃくちゃな要求をされて、トシユキさんは、結局どうしたのでしょうか。

「取引を切られる覚悟で『話にならないので、上司に変わってください』と伝えました。その途端にTさんの態度は一変。スケジュールをのばそうとしたり、支払い金額を大幅に上乗せすると言い始めたんです。

 でも、一社員が支払い料金を操作するのはおかしいし、もはや不信感しかないので、『とりあえず上司と変わってください。もしくは連絡先を教えてください』とお願いしました」

 結果、Tさんは半ギレ状態になり、「のちほど上司から連絡しますから!」と言って電話は切れたそうです。しかし、その後Tさんからも上司からも連絡はなかったとのことです。

逆に私が「モンスター取引先」になったかも

「埒が明かないので、以前、仕事をした担当者に連絡をして、今回のことを全て報告しました。話を聞いていて、担当者の声が徐々に引きつってくるのがわかりました(苦笑)。

 すぐにTさんの上司から連絡があり、謝罪されました。スケジュールや上司の修正指示も、彼女の確認不足が原因、全部デタラメでした。その後、余裕のあるスケジュールで制作を再開し、トラブルなく納品。適切な金額の支払いを受けました」

 トシユキさんは、今回の仕事をこのように振り返ります。

「今回は、Tさんの上司がきちんと対応してくださったので助かりました。でも、Tさんがワル知恵が働くタイプだったら全部、私の責任にされて、逆に私が『モンスター取引先』という噂を流されて、取引を終了させられていたかもしれません

 それ以降、トシユキさんは発注時に少しでも「おかしいな」「変だな」と違和感を覚えた仕事は断るようにしていると言います。

特集・モンスタークレーマーとの死闘 Vol.3 ―

<取材・文/瀧戸詠未 イラスト/zzz(ズズズ)@zzz_illust

フリーライター。教育、ビジネスを中心に記事を執筆中。お酒と食べ歩きとひとり旅が趣味

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