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汚物がなぜジュポッと消える?新幹線のトイレにまつわる素朴な疑問

暮らし

 2022年は、日本の鉄道開業150年周年。新幹線も1964年10月に開業してから60年近くが過ぎた。出張に、帰省に、旅行に、欠かすことのできない交通手段だが、よくよく考えてみると、さまざまな謎が次から次へと浮かんでくる。

新幹線 トイレ

新幹線のトイレ ※画像はイメージです(以下同じ)

 時速300キロで走る新幹線の窓は、小石が当たってもなぜ割れないのか? 北海道新幹線の先頭車両が長い理由は? そんな新幹線にまつわる謎の数々を解説した『最新版 新幹線に乗るのがおもしろくなる本』(著・レイルウェイ研究会)より、新幹線のトイレで汚物がジュポッと消える秘密などを紹介する。

新幹線が急ブレーキをかけたらどうなる?

 時速300キロメートルというスピードで走る新幹線には、踏切もなければ信号機もないから、「急ブレーキ!」というような事態はそうそう起こり得ない。とはいっても、走行中の大地震なども含めて不測の事態に備えて非常ブレーキは装備されている

 万が一、新幹線が緊急停止しようとしたとき、車両が完全に止まるまでにいったいどれほどの距離を走るのだろう。新幹線で、初めて時速300キロメートルの営業運転を達成した500系の場合、車輪の空転を防止し、ブレーキが正常に機能するようにセラミック噴射装置が搭載されていた。

時速300キロだと何メートルで止まる?

レイルウェイ研究会

レイルウェイ研究会『最新版 新幹線に乗るのがおもしろくなる本』(扶桑社文庫)

 セラミック噴射方式のブレーキとは、ごく少量のセラミックの粒子を高速で車輪とレールの間に噴射することで、摩擦を大きくし、車輪の空転や滑走を防止できるという効果をねらった装置だ。こうした最新の装置が働いても、最高速度の300キロメートルで走行しているときに非常ブレーキをかけた新幹線は約4キロメートル先まで走ってしまう

 このセラミック噴射装置が開発される以前、時速270キロメートルで走行する700系「のぞみ」の場合、急ブレーキの効果は4キロメートルだった。「ひかり」が時速200キロメートルで走行していた時代は、これが2キロメートルだったことを考えると、高速走行の技術が進んでも、効果を抜群に発揮するブレーキ装置の技術開発という点では、あまり期待できないというのが現実である。

 新幹線の場合、踏切もなく高速走行が優先されているからブレーキ効果が4キロメートルでもやむを得ないとされているが、踏切がある在来線の場合、「列車は急ブレーキをかけてから600メートル以内で止まらなければならない」という規則が設けられている。現在のブレーキ性能などを考慮してここから逆算すると、在来線の特急は最高時速130キロメートルに抑えられることになる。

最新版 新幹線に乗るのがおもしろくなる本

最新版 新幹線に乗るのがおもしろくなる本

あらゆる英知を結集させた世界最高傑作の電車のひとつである新幹線。この本では、そんな新幹線にまつわる素朴な疑問を解決いたします!

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