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「AKB48に入りたいです」と言った女子生徒の2年後に鳥肌…。“異色の学ラン集団”が語る、応援の力

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 学ランに鉢巻き姿。大声を張り上げ、思い切り腕をふりながら全力でエールを送る――。そんな昔ながらの応援団のスタイルが再び注目されている。その“旗振り役”とも言われるのが宮城県仙台市に拠点を置く「青空応援団」。2013年に結成された、社会人のみ約80人の応援団だ。

青空応援団

青空応援団

 東北を中心にスポーツイベントだけでなく、“頑張る”個人や団体に向けて、エールを送り続けている。その活動にメディアが注目し、ドキュメンタリー番組やテレビCMにも出演しており。青空応援団の平了(たいら・りょう)団長は、2021年9月に初の著書『青空応援団 ~僕らはいつだって応援している~』を刊行した。

 4月からの進学や上京などの新生活がはじまり、不安な思いを抱えている人も多いだろう。今回はそんな同書から「真剣に誰かを応援すること」と、それがもたらした“ある奇跡”を紹介したい(以下、同書より一部編集の上抜粋)。

君は真剣に応援されたことがあるか

 誰かに本気で応援されたことがありますか。「応援してるから、頑張ってね」などと仲よしの友だちから挨拶程度に声をかけてもらうような軽いものじゃなくて、です。本気で、とは、その瞬間、相手が抱えている重圧や緊張をともに背負い、全身全霊で応援すること。おそらくほとんどの人はそんな応援を受けたことがないんじゃなかろうか。

 僕たち青空応援団は、頑張っている人を本気で応援する、社会人で構成された応援団です。たとえば、あなたが大事な試合に臨むとき。あるいは受験や就職、結婚や出産など、人生の節目となる大事な場面を迎えるとき。あなたが勝てるように、あるいは無事に目的を果たせるように全力で応援する。

 僕たちは、応援がものごとの成否を分けると本気で信じている。強い思いと責任を背負って応援するのが、僕たち青空応援団だ。僕は、青空応援団の初代団長、平了です。これから青空応援団とはいったい何なのか、なぜそういうものをつくったのかということについて説明していこうと思うのだけれど、その前に気になっていることがある。

そもそも応援団とはどういう団体か?

青空応援団

平了『青空応援団 ~僕らはいつだって応援している~』(扶桑社)

 そもそもみなさんが応援団というものを知っているか、ということなんだ。応援団と言ってすぐわかるのは40代以降の人たちだよね、おそらく。若い女性たちには、ピンと来ないかもしれない

 冒頭の写真を見てください。そう、応援団とは、学ランに裸足または下駄(学校によってはエナメル靴を履いていることも)、太鼓の音に合わせて、旗を振ったり体を動かしながら、「フレー、フレー」と大声でエール(声援)を送る集団のこと。たとえば甲子園で行われる高校野球。炎天下、水をかぶりながら学ラン姿で声を枯らし、応援する姿を目にしたことがあるだろう。あれが応援団だね。

 応援団とは、高校や大学などの学校内で組織されるもので、本来はその学校の行事や部活動を応援する団体だ。だから通常は学生の集団、ということになる。応援団のプロチームもあるようだけど、応援団のプロリーグなんてものはないからね。学校を卒業したあとは、応援団員の活躍する場はほぼなくなってしまう。

 しかし青空応援団のメンバーは全員が仕事を持つ社会人だ。これまで実に多くの場所で応援を行ってきた。

青空応援団 ~僕らはいつだって応援している~

青空応援団 ~僕らはいつだって応援している~

小学校で講演するといじめがなくなる。施設で応援すると車いすのおばあちゃんが立ち上がる。座り込んだランナーが再び走り出す。東日本大震災後、「人助けに理由はいらねぇ」をモットーに泥かきを手伝っていた「スコップ団」の団長が「もう支援ではない。これからは応援だ」と社会人応援団を立ち上げた

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