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パリでYOSHIKIに送った「フレフレのエール」。無名の応援団が600万円集めて起こした“奇跡“

暮らし

 学ランに鉢巻き姿。大声を張り上げ、思い切り腕をふりながら全力でエールを送る――。そんな昔ながらの応援団のスタイルが再び注目されている。その“旗振り役”とも言われるのが宮城県仙台市に拠点を置く「青空応援団」。2013年に結成された、社会人のみ約80人の応援団だ。

青空応援団

2014年、パリ「ジャパンエキスポ」参加のため渡仏。凱旋門の前で応援を披露した

 東北を中心にスポーツイベントだけでなく、“頑張る”個人や団体に向けて、エールを送り続けている。その活動にメディアが注目し、ドキュメンタリー番組やテレビCMにも出演しており。青空応援団の平了(たいら・りょう)団長は、2021年9月に初の著書『青空応援団 ~僕らはいつだって応援している~』を刊行した。

 4月からの進学や上京などの新生活がはじまり不安な人も多いだろう。今回はそんな同書から転機となったパリ「ジャパンエキスポ」への参加と、YOSHIKIさんに渾身のエールを送った出来事について紹介したい(以下、同書より一部編集の上抜粋)。

転機となったパリ「ジャパンエキスポ」への参加

 青空応援団の名前が広く知れわたるきっかけになったのは2014年、パリで行われた「ジャパンエキスポ(Japan Expo)」だった。ジャパンエキスポとは、日本のカルチャーを一堂に集めてPRするという大がかりな祭典だ。食、ファッション、音楽、マンガ、ビデオゲームから、武道、伝統芸能まで、日本のさまざまな文化をフランスのパリやその他の国で紹介する、総合博覧会である。

 もともと日本びいきなお国柄のフランスでは21世紀に入った頃から日本のオタク文化が人気になった。それをきっかけに、日本の食やファッションが見直され、大規模な日本のPRイベントが2000年にスタートし、以後、毎年開催されている(2020年は新型コロナウイルスの影響で中止)。

 この大イベントに発足間もない青空応援団の出演が認められたのは2014年のことだった。我々としては、日本の「カワイイ」文化だけではなく、「応援団」という伝統的な文化も知ってもらいたいということで参加させていただいた

熱い思いを主催者側に伝え続けた結果…

青空応援団

平了『青空応援団 ~僕らはいつだって応援している~』(扶桑社)

……などと言うとかっこいいのだが、こちらから無理やりお願いしてメンバーに入れてもらったというのが本当のところだ。当時、青空応援団は無名に等しかったから、主催者側から招待が来るはずもなく、ジャパンエキスポの存在を知ったこちらから強烈にプッシュしたんだわ(笑)

 日本の代表的な文化を紹介する場と言いつつ、日本でもあまり知られていない応援団が出演させてくれと言うんだから、主催者側も困ったに違いない。しかし応援団は日本の伝統文化と言っていいものじゃないか、というのがこちらの言い分だ。

 日本人が大切に守り、継承してきた応援団という文化を知ってもらうことだって、日本の魅力を伝えるうえで大切なことだと思う、そう言って僕らは熱い思いを主催者側に伝え続け、ようやく出演者リストに入れてもらえることになった。

 でも僕らにとってはそれで十分だった。問題はそこからだ。なにしろ招待を受けたわけではないから、渡航の費用は自分たちで賄わなければならない。フランスへの往復飛行機代+滞在費を考えると、一人25万~30万円はかかる。一方、応援団らしい迫力ある演舞を見てもらうには、5~6人では足りない。20人は揃えたい。そうすると最低500万~600万円の予算が必要になってしまう

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