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キユーピー、多様化するマヨネーズの裏側 「ハーフの発売には賛否があった」

ビジネス

変えるべきか否かを判断するのが難しい

 また、マヨネーズを利用するシーンが多様化するに合わせ、さまざまな容量タイプを用意しているという。

「小容量の50gは外出時に気軽に持ち運べるニーズで使っていただいていますし、200gに関してはパートナーと2人で使う用途を想定した容量になっています。パッケージデザインも、2人で食卓を囲むシーンを描写するイラストを入れており、使用シーンを想像できるよう工夫しています」

 しかし、「守るべきもの」と「新しさを求める」ことを両立させることが非常に難しいことだと渡辺は語る。

「赤い網目やキユーピー人形のデザイン、容器の形状などはブランディングの一つとして守ってきたものである一方、常に新しい存在であり続けるには時流に合わせて変えなければならない要素もあります。ただ、『何を変えてはならないのか、あるいはどこを変えてもいいのか』などは商品開発をする上で一番の悩みどころですね。キユーピーの他の商品に比べてもすごく気を遣っていると思います。ユーザーの意見は常日頃チェックし、『こんなマヨネーズがあったら嬉しい』というのを体現できるように努めています」

コロナ禍での健康訴求から生まれた新商品

キユーピー

キユーピー マヨネーズの容量一覧

 コロナ禍で在宅時間が増え、新たに巣篭もり需要が生まれるなど、食ニーズの変化も生じている。渡辺氏は「コロナ禍で健康志向の高まりや内食機会の増加が顕著になった」と述べる。

「外食機会が減り、自宅で料理をする機会が増えました。また、料理の時短ニーズやメニューの合理化など、効率的に食事を済ませたいと考える人も多くなっている印象です。おかずと主食がワンプレートで完結するメニューや、丼ぶりものの一品メニューも増えてきています」

 そんななか、コロナ禍の消費者ニーズに合わせて開発したのが「キユーピー フィッテ」だ。BMIが高めの方(BMI25以上30未満)をターゲットにした商品で、2021年3月から発売している。渡辺氏は「コロナ禍での外出自粛や在宅ワークによる運動不足を感じている方への健康意識から生まれた」とし、次のように発売した経緯を説明する。

「健康的で満足感のある食生活を送るために、キユーピーとして何かできないかと考えたのが始まりでした。そのなかで、健康的な食生活が改善のポイントである内臓脂肪に着目し、毎日の健康維持に気軽に取り入れられるマヨネーズを開発しようと企画したんです。しかし、機能性表示食品ゆえ、科学的根拠に基づいた機能を商品に加える必要がありました。

 これが飲料商品であれば1本分の摂取量で考えればいいのですが、キユーピー フィッテの場合は1日の摂取目安量15g(大さじ約1杯)の中に、内臓脂肪を減らす機能が報告されているローズヒップ由来ティリロサイドを含み、さらにはマヨネーズらしい美味しさを担保しなければなりませんでした。この大さじ1杯の味づくりには相当苦労を要しましたね」

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