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若者に人気の低アルコール飲料「ZIMA」が“地方都市”から広がったワケを聞く

ビジネス

 成熟化したアルコール市場のなかで、地位を確立するのは容易なことではない。そんななか、プレミアム低アルコール飲料の「ZIMA(ジーマ)」は多くの若者に支持されるブランドだ。音楽やファッション、アートなど若者文化に寄り添い、カルチャーとともに成長してきたが、なぜ認知度を高めることに成功したのか。

ジーマ

モルソン・クアーズ・ジャパン株式会社の名嘉眞隼人氏

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 販売元であるモルソン・クアーズ・ジャパン株式会社の名嘉眞(なかま)隼人氏に、ZIMAのマーケティングで意識してきたことや今後の展望について話を聞いた。

地方都市の個人店から火がついた

 ZIMAは1993年にアメリカで発売されたアルコール飲料だ。現地では麦芽ベースの透明なビールとして販売され、日本には1996年に上陸。

 しかし当時は、ハイボールが普及する前のビール一強の時代で、ZIMAのようなRTDリキュール飲料(※RTD…蓋を開けてすぐにそのまま飲める飲料)は認知されていなかった。転機になったのは、札幌、富山、前橋、名古屋、広島、高松など地方都市にある個人経営の飲食店に受け入れられたことだった

「地方都市の個人が経営する飲食店や酒場では『新しいものを取り入れ、流行を作り出す』という文化が根付いていて、アメリカから来た見た目がおしゃれでかっこいいZIMAを気に入ってくれました。また、ZIMAらしいネオンサインのロゴやデザインもビジュアル的訴求にインパクトがあり、個人店からは好評だったんです。

 北海道、東海北陸、北関東、中四国エリアの個人店からZIMAの名前が広まっていき、またZIMAのような甘くて、飲みやすいリキュールはナイトクラブでも他になかったので、ナイトシーンでも浸透していったわけです」

 かくしてZIMAは、RTD飲料の先駆的ブランドとして次第に知れ渡るようになった。

他社が真似できないニッチさで差別化

ジーマ

 しかし、2000年代に入ると、ビールが相対的に売れなくなったことで、キリンビール「氷結」、サントリー「ほろよい」「-196℃ストロングゼロ」など、日本国内の大手酒類メーカーがこぞって本腰を入れ、RTD市場は競争が激化した。

 こうした競争激しいRTD市場のなかで、ZIMAは他の商品とどう差別化し、ポジショニングを確立してきたのだろうか。

 名嘉眞氏は「RTD飲料は通常、コンビニやスーパーの売り場面積やCMの量に比例して売上を取りに行くのが定石だが、ZIMAは他社ができないニッチなプロモーションを行ってきた」とし、次のように説明する。

「ZIMAのプロモーション企画は、基本的に料飲店向けの『B to B to C』を意識していて、カルチャーや若者が集うような場所を中心に施策を展開してきました。お店で映えるような『カラーZIMA』や芸能人とキスをするかのような疑似体験ができる『KISS A ZIMA』など、大手ができないような独自性のあるプロモーションを行い、プレゼンスを高めてきたんです。

 特に飲用オケージョンを考えたとき、ZIMAはパーティーやクラブ、カラオケなどのシーンに強く、若者カルチャーとの結びつきや親和性が非常に高かった。このような背景からも、若者が集まりそうなカラオケやナイトクラブなどの業態に向けて、ZIMAらしいプロモーションができるよう工夫してきました。今はやっていないですが、当時は毎週末、クラブにZIMAガールを派遣し、イベントを盛り上げる試みもしていましたね」

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