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高級食パンの“業界トップ”に挑む「銀座に志かわ」社長が明かす、急成長の理由

ビジネス

 2013年ごろから高級食パンブームに火がつき始め、高級食パン専門店が次々と誕生した。なかでもブームの先駆者と言われる「乃が美(のがみ)」に、追いつけ追い越せと言わんばかりの急成長を遂げているのが「銀座に志かわ」だ。

仁志川

株式会社銀座仁志川の代表取締役社長を務める髙橋仁志氏

 2018年9月に銀座で1号店をオープン以来、約2年7か月で全国に100店舗を展開する規模となっている。同店を運営する株式会社銀座仁志川の代表取締役社長・髙橋仁志氏に急成長の理由や今後の事業展望について話を聞いた。

「料理人」未経験のまま飲食業界へ

 髙橋氏は大学卒業後に地銀の三重銀行へ就職。3年間勤めた後、親が割烹を営んでいたこともあって、食の世界でのキャリアをスタートさせることに。

「割烹料理屋の息子として生まれた手前、『食の世界で生きていこう』と、まずは宅配ピザの事業を開始し、自分で店舗を運営するようになったんです。いま思えばピザも小麦粉を使っているので、パンと似たようなところがあったかもしれません(笑)」

 親のような「料理人」ではなく、「ビジネスマン」としての経験を深めていった髙橋氏。複数の外食店舗経営を経て、37歳のときにパン業界へ進出するきっかけが訪れる。

麻布十番の老舗ベーカリーの社長に就任

にしかわ

麻布十番に本店を構える老舗のベーカリー・麻生十番モンタボーの社長に縁あって就任することになったんです。これがパンとの最初の出合いでした。地域に根ざしたベーカリーとして、美味しいパンを作って多くのお客様へ届ける楽しさや喜びを学びましたね」

 そして、2010年には地元の三重で郊外型のベーカリー「513BAKERY(コイサンベーカリー)」を創業。焼きたてや手作りにこだわったパンが常時100種類以上並ぶお店で、三重や愛知を中心に店舗を拡大し、今では両県で11店舗を構えているという。

「なぜ“513”というネーミングにしたかというと、親が営む割烹料亭『こいさん』に由来するんです。直接的にはお店を継げなかったので、親子代々“食”に生きることを何か名前に入れたかった。地域に根を下ろし、貪欲に美味しいパンを研究してきたことで、県民に愛されるローカルのベーカリーとして親しまれるようになりました

 そんな髙橋氏が高級食パンに目をつけ、「銀座に志かわ」を立ち上げるに至った背景はどこにあるのか。実は2015年に、銀座に志かわの「水にこだわる高級食パン」のベースになった商品を513BAKERYで販売していた。

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