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高級食パンの“業界トップ”に挑む「銀座に志かわ」社長が明かす、急成長の理由

ビジネス

「1店舗・1工房・1商品」にこだわり

「『美味しい=売れるもの』という認識を持っていた」と話す高橋氏は、513BAKERYのように多くの種類を販売するのではなく、「高級食パン」の1種類だけで勝負する理由についてこう語る。

「パン業界って職人気質というか、技術がないと美味しいパンは作れないんですね。種類が増えれば、それだけレシピも多くなるし、作り手が変わっても変わらない味を出すには、しっかりとした教育が必要になる。『1店舗・1工房・1商品』にすることで、誰がどこで作っても美味しい食パンを再現でき、出店スピードを上げることもできたんです

 こうして銀座に志かわは1号店の銀座本店を皮切りに、店舗を急拡大させていく。2021年4月には「3年で100店舗を出店」という創業時の目標を達成し、高級食パンブームを牽引する乃が美を追い越すべく、さらなる事業成長を目指しているという。

かつてのブランド米と同様に食パンも

にしかわ

開発に4年の歳月を費やした銀座に志かわの「水にこだわる高級食パン」

「店舗数だけで見れば、乃が美さんは現在220店舗まで拡大させていて、規模感としてはまだまだ追いついていないのが現状です。よくメディアでは『老舗・大阪の乃が美』と『新星・東京の銀座に志かわ』の東西対決という形で取り上げられるんですが、これからは店舗数だけの勝負ではなく“ブランド力”が鍵となってくると考えています。菓子パンや総菜パン、デニッシュなどパンの種類はさまざまありますが、食パンは最も伸びていて、白米を抜く、今や日本人の主食として根付いています」

 かつて、コシヒカリやササニシキといったブランド米が浸透したのは、米を美味しく炊ける炊飯器が普及したという時代背景がある。同様に高級食パンも、昨今、高性能トースターが登場してきたことで、「お米のようにブランド化が進む」と高橋氏は予想している。

「コロナ禍では、お家時間の増加に伴う巣ごもり消費やプチ贅沢志向が高まったことで、売上にはそれほど大きな影響はなかった。ただ、出張や帰省時の手土産やギフト・贈答品需要は落ち込んだので、新たな販売チャネルとして百貨店などでの催事出店を行っています。全国各地に水にこだわる高級食パンの魅力を広げ、そのトップブランドになるべく尽力していきたいですね」

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