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電話で説教、逆ギレ…アパレル店の“ありえないモンスター顧客”にゲッソリ

コラム

とっさの機転でピンチを切り抜ける

「たまたまその商品が、次の店舗に発送前だったのです。発送準備中だった商品を急いでバックヤードから取り戻し、販売することができました。ただ、次に送るはずだった店舗とお客さんには謝りましたが……。ただ、相当怒りが収まらなかったようで、本社にもクレームが入りました」

 もはや商品自体への未練というよりも、キャンセルされたことへの執念を感じるエピソードですが、商品のお直しでも似たようなトラブルが起きました。

「セールなどの後は裾直しが混むのですが、あるお客さんが出していたパンツの裾直しが、予定の時期を過ぎても出来上がらなかったため、怒りの電話が掛ってきました」

 朱莉さんによれば、クレームは、対面よりも電話のほうが長くなる傾向があるといいます。

道を間違えて逆ギレする客

クレーム電話

「出来上がりの予定日を過ぎた時点で、なぜ連絡をよこさなかったんだと、電話越しに何時間も説教されました。こちらのミスですので謝罪し続けていたのですが、絶対に失敗を許さないという感じで口調もかなり荒々しくて、精神的にかなり消耗しましたね……。裾直しした商品には、手書きで詫び状を添えました」

 華やかそうに見えるアパレル業界ですが、クレーマー客の対応は大変そうですね。

「年代的にスマホのアプリを使いこなせないのか、路面店までの道を迷う人が多いんです。電話で道案内をしているとき、あるスタッフが『駅の出口を間違えていらっしゃるのでは?』と訊ねると、『こっちが悪いというの!』と向こうは大激怒。駅から10分もかからない店舗なのですが、30分以上迷ってやってきて、怒りながら数千円のマスクだけ購入して帰っていきました…」

 接客業の人たちは、コロナ禍での人々の心の変化を肌で感じているようです。

<取材・文/池守りぜね イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>

出版社や、web媒体の編集を経て、フリーライターに。趣味は子供と一緒にプロレス観戦。ライブハウスに通い続けて四半世紀以上。家族で音楽フェスに行くのが幸せ

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