愛煙家・千鳥大悟、タバコCM出演の舞台裏。「こんな俺はレアよ」とノリノリだった
タバコが「センシティブな」テーマに
――大悟さんは、『相席食堂』(ABC)で「夢がひとつ叶った」と発言していましたが、とはいえ今のご時世、タバコそのものが結構〈取り扱い注意〉といった風潮もある気が……。ぶっちゃけ最初に打診した時、受けてくれると思いましたか?
神田:確かに今、タバコというのは、嫌いであっても、喫煙者であっても、“余計なこと”を言ってどちらかを傷つけたくないという方もいるくらい、センシティブなテーマです。
そうした風潮の中で、大悟さんには「喫煙者の代表をしてください」というすごくストレートなオファーをしました。回りくどく言っても仕方のないことですから。ただ、重たい役回りということもあり、正直、半分諦めていたのは事実です。
――OKという連絡をもらった時は、どう思いましたか?
神田:僕らはもう、「やったあ!!」という(ガッツポーズをしてみせる)。繰り返しになりますが、大悟さんはタバコがパブリックイメージになっている稀有な存在ですから。
――タレントさんを起用するのは、珍しいですよね?
神田:はい。実はこれまで、マナー啓発を呼びかける際、『大人たばこ養成講座』など、イラストや文言を使ったものはありましたが、タレントさんを起用して、きちんとマナーを訴えたものはここしばらくありませんでした。
でも、昨年の改正健康増進法で、原則屋内禁煙になり、ますます喫煙所の存在が大切になってきた。「スーシャルディスタンス」キャンペーンは、喫煙所があることが、吸う人だけでなく、吸わない人を守ることでもある、ということを広く理解していただくもの。世の中を大きく変えていこうという覚悟のもと展開しているなか、大悟さんだけはなんとしてもという感じでしたので。
結果的にレアな大悟さんになった
――大悟さんの渋い姿がレアだと話題です。ギャップは意識したのですか。
ディレクター・横澤宏一郎(以下、横澤):大悟さんの起用よりも先に「距離を保とうぜ」というメッセージを楽曲に乗せる企画が決まっていたんです。
動画を最後まで視聴してもらうための企画を練るなかで、「“あるある”ネタ」「シンガーにからませよう」といったアイデアが出ました。ただ、その“あるある”や“歌”というベタなものは、ただしゃべるだけ、歌うだけだと面白くない。上質なものに仕上げたいという思いがありました。
そういう経緯で味のある色合いの部屋、耳心地のよい楽曲などが先に決まり、結果的にレアな大悟さんになったという感じです。だから、大悟さんのレアな姿を引き出そう、と最初に意図していたわけでは全くないんです。
――演出は?
神田:振付けや仕草といったポーズやセリフだけは決めていましたが、しゃべりの部分はご自分のワールドで、自由演技に近い感じでやっていただきました。本番で、大悟さんならではのしゃべり方や言葉の使い方を見て、「この企画って、こうなるんだ! 面白いね」なんて、カメラ越しに感心したほどです。