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大戸屋買収のコロワイドが「前代未聞の赤字」に。危険水域を乗り越えられるのか

ビジネス

コロワイドが抱えた巨大な爆弾とは

時限爆弾

画像はイメージです

 実はコロワイドは巨大な爆弾を1つ抱えています。買収を繰り返してできた「のれん」です。

「のれん」は純資産と買収金額の差から生じる会計上の概念です。例えば、純資産30億円の会社を50億円で買収すると、20億円が「のれん」として固定資産に計上されます。

 日本の会計基準だと「のれん」は20年を上限に償却するのですが、コロワイドが採用しているIFAS(国際会計基準)では償却する必要がありません。つまり、積み上がったまま資産計上されているのです。

 普段は特に気にする必要はありません。しかし、新型コロナウイルスのような環境が激変したタイミングでは注意が必要です。「のれん」の減損損失が視野に入るからです

純資産の2.8倍にも膨れ上がった「のれん」

「のれん」は、買収した企業の収益力などを裏付けとして計上されています。計画していた収益力が失われると、「のれん」を減らす必要があるのです。これが減損損失です。

 コロワイドの「のれん」は828億4700万円。総資産の31%を占めています。純資産の2.8倍にものぼっているのです。仮に「のれん」を全額減損するようなことがあれば、一瞬で債務超過になります。しかもコロワイドはコロナに弱い非日常食が主体。危険な橋を渡っているといえます。

 コロワイドは今、非常に難しいかじ取りを迫られています。

<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。現在はコンサルタントという名の中小企業経営者のサンドバッグ役を務めるかたわら、経済の面白さを広く伝えるため、開示情報を分析した記事を書いている。好きな言葉は美食家・北大路魯山人の「硬め、麺少なめ、ニンニクマシマシ」

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