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とにかく明るい安村、“話題の歌ネタ”誕生の背景を語る「情けないおじさんが好きなんです」

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想定していたオチと予想外の「泣ける」反応

安村

――そして、『有吉の壁』で披露。『歌ネタ王』の後You Tubeで公開したものはにこやかな笑顔で歌っていますが、『壁』では鬼気迫る表情で、なりふり構わないスタイルが印象的でした。

安村:『歌ネタ王』の時のものより、尺を短くして構成しなおしました。ただ、『有吉の壁』でやった時は一日の流れがあったんですよね。

 その前のネタで、ボケのためにめちゃくちゃに剃った髪はざんばらだし、もう見た目から情けないヤツ感満載。それでもとりあえず一生懸命やるしかなくて、必死の顔になったんだと思います。見ていた芸人たちも、安村さんにしかできないネタですね、と言ってくれました。

――かまいたちを始め、芸人たちが次々にスタンディングオベーションをしていた他、パーパー・ほしのディスコさんやジャングルポケット・斉藤(慎二)さんがホロリとしていた様子も映し出されました。SNSでも「笑えて泣ける」と話題でしたが、テレビを見た人の反応を、実際に感じたことはありますか。

安村:『有吉の壁』が放送されてから、街を歩いている時に、若い女性とかから、「私も田舎から上京してきて…」なんて声をかけられるようになりました。自分の人生を重ねる人が結構いて、心の中にみんなそういう経験があるんだなあと知ったんですが、そんな風に、共感してもらえるつもりは全然なかったんです。

 本当は、「お前が勝手に上京してバカやってるだけで、それを東京のせいにしてるんじゃないよ、何東京のせいにしてんだよ!」っていうツッコミを期待したものなんですけど、おかしいなあ(笑)。

感動を呼んだ「フリーダムまさ江」「ビッグアニー」

安村

ビックアニー(『有吉の壁』公式チャンネルより)

――その後、『有吉の壁』では「フリーダムまさ江」や、「ビックアニー」という名作も飛び出ました。「フリーダムまさ江」は、芸歴1年目の主婦芸人・まさ江(49歳)が、「ポケットからきゅんです!」の音楽に乗せ、夫と出会った青春を振り返りながら「人生は一瞬です/やりたいことをやるんです」「家族の愛に/私はサンキューです」などと歌ったものでした。

安村:これは、年齢重ねてから、死ぬ前にはっちゃけたことやりたい、みたいな、お笑いとしては“あるある”のネタ。でもそのなかに「あー自由になりたい!」とか、自分の感情をめっちゃ入れちゃうのがまさ江です。いや、知らねえよ。自分の気持ち入れてくんなよ、みたいなオチなんです、自分の中では。

――「ビックアニー」はシリーズ化されるほどの人気になっています。仕事で怒られっぱなしの長男が、唯一の自慢として弟がたくさんいること、その弟たちのポイントとして「足速い」「友達多い」「よく寝る」といったことを紹介するネタ。家族愛に続いて、兄弟愛が「泣ける」と、これもまた話題になりました。

安村:「誰々と知り合いなんです」って謎の自慢する人、いるじゃないですか。その、自分じゃない人で自慢する情けなーい感じを、弟の「数」でやろうと。弟がたくさんいることだけを凄いって自慢してるのって、とんでもなく情けないやつじゃないですか。そのしょうもなさが面白いなと。

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