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とにかく明るい安村、“話題の歌ネタ”誕生の背景を語る「情けないおじさんが好きなんです」

暮らし

「“情けないおじさん”が好きなんです」

安村

――お話を聞いていると、「情けない」ということが安村さんのキーワードなんでしょうか。

安村:確かに! 言われてみれば、僕、そういう映画が好きなんですよ。おじさんが情けない映画。

 ジャック・ニコルソン主演の『アバウト・シュミット』っていう映画があるんです。仕事命だった主人公が定年になって、ぼんやりしている間に奥さんが急に死んじゃって。部屋は散らかるし、奥さんと親友の浮気が発覚したり、踏んだり蹴ったり。

 キャンピングカーで遠くに住んでいる娘の結婚式を手伝いに行くんだけど、娘からは断られて…。そういう“情けないおじさん”が好きなんですよね。それが、僕のネタにもどこかにじみ出ているのかもしれません。

 余談ですけど、前住んでいたアパートが、周囲に居酒屋が多くて、夜うるさかったんです。ある時、べろべろに酔っ払ったおじさんが、僕のアパートの前で立ちションしながら、一人でブツブツ喋ってたんですよ。そこで僕は窓をすこーし開けて、「おい、お前だよ!」って(笑)。

 酔っ払いがびっくりしてキョロキョロするのを見ながら、「何やってんだよ、おい、お前だよ~」って話しかけて。めちゃくちゃ面白かったですね、そのおじさんの情けない感じが(笑)。

『有吉の壁』で融合する「中堅芸人」と「若手」

安村

――『有吉の壁』は、安村さんの他にもパンサーやジャングルポケットの面白さが再注目されるなど、「中堅芸人再生工場」と話題になっています。

安村:おじさんたちが生き生きしているのは確かですね。おじさんたちがワ――ッと勢いでネタをやって、ごまかすみたいな(笑)。タイムマシーン3号とか、U字工事とか、そういう人たちがちゃんと面白い。

 僕、テレビに初めて出た時にU字工事さんが一緒だったんですが、そういう人と今また一緒にやってるのが嬉しいですね。四千頭身とか、若手ともすっごい話しますよ。移動の車中も、俺がうるさくて寝られないとか、他の芸人から苦情を言われるくらい(笑)。世代を超えて、同じ立ち位置で“勝負”できるというのは楽しいですね。

――将来こんな風になっていたいというような、目指す姿はありますか?

安村:やっぱり「情けないおじさん」ですね。いつまでも、「何やってんだよ、おじさん」って言われるのが理想です!

<取材・文/吉河未布 撮影/内海裕之>

【とにかく明るい安村】
1982年北海道生まれ。2000年、NSC東京校6期でお笑いコンビ・アームストロングを結成。2014年に解散後、ピン芸人に。翌年『R-1ぐらんぷり』の決勝に進出。決めフレーズの「安心してください。はいていますよ」は、ユーキャン新語・流行語大賞トップ10に選出された

編集者・ライター。ネットの海の端っこに生きています。気になったものは根掘り葉掘り

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