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急増する「うどん酒場」 美人店主が語る“うどん呑み“の魅力

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 いいうどん屋にはいい酒がある。近頃増えている「うどん酒場」。うどんの具がつまみとなり、ハシゴをせずともシメが待つ。さぁ、進化し続ける「うどん酒場」で一杯、いや一献!(※価格はすべて税込)

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うどんスナック松ト麦の「ネバリゴシとおつまみ各種」

旨いうどん屋には絶品の酒とアテがある

 春が来た。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」ではないが、いつの時代も強烈なテレポート体験は記憶に刻まれる。行き先が「飲めるうどん屋」という特異な場所ならば、なおのこと。

 世田谷区駒沢。何の変哲もないマンションの入口を抜け、地下への階段を下りる。そこに現れるのは「うどんスナック 松ト麦」という店名も含めて違和感満載の店だ。

 店主の井上こんさん(@koninoue)は、もともとうどんを専門とするライターで、出身地である福岡のうどんをはじめ、さまざまなうどんを取材するなか、国産小麦の魅力に開眼する。

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うどんはすべて店主井上さんの手打ち。打ち上がったうどんはネタケースに入れられ、お客に愛でられる

 2019年から世田谷の松陰神社前で週に一度の間借り営業をスタート。今年1月に現在の場所に常設の店舗をオープンした。

「小麦って品種ごとにそれぞれのデンプンやタンパク質の比率があって、粘りと弾力のバランス――粘弾性もそれぞれ違います。今、扱っている国産小麦はだいたい20種類ほどで、そのなかから毎日2~3種類の小麦を使って、その粉の特性がわかるシングルオリジンのうどんを提供しています」

2日間かけて打ち上がるうどん

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岡山の地粉「ふくほのか」を武蔵野風の肉汁つけうどんに。がっしりしつつ、艶やかさと滑らかさも備える

 と、どこまでもマニアックだが、注文から茹で上がりまで早くて十数分、小麦によっては30分近くかかるというので、まずはビールとつまみからスタートすることに。

 気づけばどこからともなく現れた美女客が隣に座り、「うどん飲みといえば天ぷらです」と囁くので、具にもつまみにもなる「おつまみごぼ天」を言われるまま注文。さらには店主おすすめの「うどんだしのもつ煮込み」に「筋子納豆」をやりながらうどんを待つ。

 ほどなく出されたうどんは3種(食べすぎ)。まず、にゅるもちゅっ! とした定番の「ネバリゴシ」(岩手産)は、口にぬめぬめと吸いつくような色気たっぷりのしょうゆうどん。お次の週替わりは、どっしりもちっ! と小麦が香る「ふくほのか」(岡山産)を武蔵野の肉汁つけうどん風に。

 さらにこの日は「もち姫」(岩手産)を葛切りのように板状にのばしたもちもち食感を、きなこと黒蜜の甘味仕立てで味わった。打ち始めるのは提供する2日前。打っては寝かせ、を繰り返し、2日間かけてうどんは打ち上がる。皿の上でなまめかしく輝く(うどんの)柔肌。(小麦への)下心全開でカウンターに座りたい。

■ うどんスナック 松ト麦の「ネバリゴシとおつまみ各種」
本日の「定番」は「ネバリゴシ」しょうゆうどん550円。おつまみごぼ天440円、うどんだしのもつ煮込み550円、筋子納豆440円。サッポロラガー770円、淳子(義母)の梅サワー660円

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