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就職先は平均40歳オーバー!唯一の新入社員が「どん底職場」で再起できた訳

コラム

「桜坂」がすべって精神的危機に

 さらに2次会のカラオケでは、持ちネタの福山雅治『桜坂』を熱唱したものの微妙な空気に。「一時期は本当にノイローゼ気味なりました」と河野さんは振り返ります。

 一時期は退職も検討したものの、SNSでつながっていた大学時代の先輩に相談した際に言われた「新卒なんだから、まずは業務に脳内リソース使ったほうがいいんじゃない?」という一言で、事態が好転したといいます。

「職場では仕事以外の話はしなくていいと思ったことで気持ちの整理がついたんです。わざわざ、身の上話とか考えなくても、仕事とか業務の質問だけで、コミュニケーションの機会ってとても多いことも気づきました。そうなると自然に会社とか上司の経験とか、聞きたいことや知りたいことが増えてくるんです

 先輩たちも喜んで答えてくれるし、そこで他の人も巻き込んだやりとりも生まれます」

人間関係は仕事ベースでも構築可能

仕事

 さらに仕事熱心だけど少し手のかかる後輩、というイメージが定着したのか、いじるような冗談を言ってくれる機会も増えたとか。どうしても昼食を共にしたくないときは、車で休むのではなく休憩せずに働くことで、「気持ちをマイナスにしないようにできた」と河野さんは言います。

「今でも僕が最年少ですが、自分なりに上手くやれていると思います。慣れ親しんだ土地で働けていますから、もしかしたら東京の会社よりもストレスは少ないかもしれません。不満が全くないわけではないですが、結果的には正解だったと今では思えます」

 職場のコミュニケーションに対する意識を変え、すぐに実行したことが、河野さんがドン底から抜け出した大きな要因です。人間関係は雑談だけではなく、仕事ベースで構築できることは、多くの会社員にとって覚えておいて損はないのではないでしょうか。

<TEXT/藤冨広之 イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>

WEBコンテンツ制作会社「もっとグッド」代表取締役。ライター集団「ライティングパートナーズ」の主宰も務める。オウンドメディアのコンサルティングのほか、ビジネス・社会分野のライターとしても活動

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