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JR九州、新観光列車『36ぷらす3』を満喫。新感覚の畳敷き客室も

暮らし

4号車のマルチカーは「JR九州Version.」

九州旅客鉄道

鉄道車両とは思えないほどの空間(提供:九州旅客鉄道)

 4号車はマルチカーで、入ってみると高級なバーと勘違いしそう。鉄道車両と思えない出来栄えに、いっそうの衝撃を受けるだろう。ここでは、体験メニューや車内イベントで活用されるほか、モニターで沿線の動画を放映するという。また、共用スペースとして開放することもあるそうだ。床はホワイトシカモア、壁と窓材はペアウッドを用いている。

 客室部分は2人用のテーブル4卓、ソファー2脚、3人用のカウンターテーブル2脚を設けている。ソファー後ろの組子の光壁、床に描かれた藍色の柄がアクセントといえよう。

 カウンターテーブル付近にミニカウンターを配し、イベントなどで使用するほか、沿線の旬の飲食類の販売、観光案内などを検討しているという。トイレは隣の5号車も含め、男女別に分かれている

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伊豆急行『THE ROYAL EXPRESS』のマルチカー

 ちなみに“水戸岡車両”のマルチカーは、伊豆急行の『THE ROYAL EXPRESS』以来、3年ぶり2回目。伊豆急行Versionは展覧会、ミニコンサート、結婚式、会食、会議など、あらゆる場面を想定している。

改造前の面影を色濃く残す5・6号車

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5号車の車内(提供:九州旅客鉄道)

 5・6号車はグリーン車の座席で、2人掛けと1人掛けが並ぶ。客室の中央に乗客へのおもてなしサービス、販売などに活用するスペースを設けている。

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参考までに800系の座席はすべて普通車

 座席は九州新幹線の800系(全車普通車)をベースとしたもので、食事がしやすいよう、片方のひじかけから引き出すテーブルは2つ折りとしたほか、座席背面に多目的で使うことを想定した革製のポケットを鉄道車両で初めて採用し、普通車とグリーン車との差をつけている。

 座席上のハットラックと読書灯、天井の造形は踏襲され、D&S仕様に昇華。特に天井はダウンライトが追設された。

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6号車の車内

 5号車の定員は30人、使用樹種はベイマツ。6号車は先述の畳敷き車両(鉄道車両初の畳敷きリクライニングシート)で、定員は27人、使用樹種はスギ。乗務員室寄りに多目的スペースを設けている。

週によって先頭号車が変わることも

 D&S列車『36ぷらす3』は運行区間が多彩であるが、木曜日(赤の路)の博多―鹿児島中央間は、経由する肥薩おれんじ鉄道が一部区間で被災のため、当面のあいだ運行を休止。1日も早い復旧が待たれる。

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写真の先頭車は1号車

 金曜日(黒の路)は鹿児島中央―宮崎間、土曜日(緑の路)は宮崎空港―別府間、日曜日(青の路)は大分―門司港―博多間の片道ルート(西小倉―門司港間は往復運転)。月曜日(金の路)は博多―長崎間を往復する。木曜日ルートが晴れて運転されたとき、週によって列車の先頭車が1号車もしくは6号車となるので、乗車の際、号車の位置に御注意を(西小倉―博多―鹿児島中央―宮崎―大分―西小倉間は周回運転できるため)。

 ダイヤ、料金、食事サービスなど、くわしくは「36ぷらす3公式サイト」を御参照いただきたい。

【取材協力:九州旅客鉄道】

<取材・文・撮影/レイルウェイ・ライター 岸田法眼>

レイルウェイ・ライター。「Yahoo! セカンドライフ」の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、ムック『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)『鉄道ファン』(交友社)や、ウェブサイト「WEBRONZA」(朝日新聞社)などに執筆。また、好角家の側面を持つ。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)がある

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