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浅草と東京スカイツリーを繋ぐ「東京ミズマチ」。東武鉄道に聞く、その狙い

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 東京都、墨田区、東武鉄道(以下、東武)が連携した「北十間川・隅田公園観光回遊路整備事業」は、浅草と東京スカイツリータウンのあいだを線路沿いの最短距離で結ぶ“歩くスカイツリーライン”として、2020年5月にオープンする予定だ。

東武鉄道

東武鉄道の列車、隅田川、東京スカイツリーの3点セットは、まさに“江戸の名景(めいけい)”のひとつといえよう

 その概要は、伊勢崎線(浅草・押上―東武動物公園間は路線愛称「東武スカイツリーライン」で案内)の隅田川橋梁沿いに架設された遊歩道「すみだリバーウォーク」、北十間川沿いの高架下に建設された商業施設「東京ミズマチ」である(※今回の記事は、2020年4月3日に取材したものです)。

三位一体で取り組む

 東武によると、「北十間川・隅田公園観光回遊路整備事業」のきっかけは、2013年度頃だという。東京都の北十間川耐震護岸工事、墨田区の隅田公園などの改修工事、東武の高架下耐震補強工事を同じ時期に実施することとなったからだ。

 そこで、「公園、道路、高架下空間、水辺の一体的な空間を整備しよう」という案が浮上し、東京都、墨田区、東武と考え始めた。

 2014年度には、東京都、墨田区、東武、学識経験者で構成される検討会を発足し、北十間川の水辺活用やにぎわい空間の創出などの検討を開始した。今回の北十間川整備(東京ミズマチ)については2014年度頃、歩道橋整備(すみだリバーウォーク)については2018年度下期より検討を開始したという。

 2012年5月22日に東京スカイツリータウンが開業して8年。「北十間川・隅田公園観光回遊路整備事業」は、伊勢崎線浅草―とうきょうスカイツリー間、沿線回遊開発の集大成といえよう。

隅田川橋梁にすみだリバーウォークを併設

 伊勢崎線浅草雷門(現・浅草)―業平橋(現・とうきょうスカイツリー)間が開業したのは、昭和初期の1931年5月25日。以来、89年の長きにわたり、東武の列車が全長155.25メートルの隅田川橋梁を往来した。ちなみに列車は45秒で通過する。

 今まで東武の列車でしか味わえなかった景色が、すみだリバーウォーク(全長約160メートル)の建設により、存分に楽しめる。

東武鉄道

わずかながら、言問橋側の風景も楽しめる

 東武の浅草駅北口から約90秒のところに、すみだリバーウォークの出入口があり、階段とスロープを設けた。一旦、隅田川橋梁をくぐったあと、吾妻橋側に抜ける。線路の一段下に架設されたので、「ダンダン、ダンダン」という、歩くような列車の走行音、ポイント切り替えの「ウィーン」という音を間近で楽しめる。鉄道に特段関心のない方は、列車やポイントを“いきもの”という見方で感じていただけたらと思う。

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ここを境に左は台東区、右は墨田区に分かれる

 隅田川橋梁は日没後から終電にかけてライトアップされ、夜間はその灯りの中を歩くことになりそうだ。どういった空間となるのか、注目かつ楽しみにしたい。

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隅田川沿いから北十間川沿いへ

 隅田川と北十間川の合流地点となる源森川水門で隅田川を渡り終えると、小梅橋梁をくぐり、枕橋へ抜ける。

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