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コロナで投資を始める人が増加中。証券各社の強みを比較した

コラム

 2020年3月、ネット証券取引口座の新規開設数は37万6557を記録。4月は22万7000口座で3月よりは減っていますが、2月の21万9776と同水準で推移し、関心は衰えていません。なかでも楽天証券の3月月間新規口座開設数は過去最大の16万4011口座(全体の44%)をマークし、2月に続いてネット証券の開設数過去最大を更新しました。

証券

※イメージです

 株式会社ヴァリューズによる国内ユーザー行動ログから、今回は盛りあがるネット証券市場を考察してみましょう。

最多は2800万口座でSBI証券

 ネット証券全体で見ると、口座数トップはSBI証券。日本証券業協会「インターネット取引に関する調査結果(2019年9月末)について」によると、2019年9月時点で85社がサービスを展開し、約2800万口座(うち有残高口座は1757万)が開設されています。

 老舗証券会社ももちろんネット取引サービスやアプリを展開していて、例えば野村證券の場合、2020年3月末時点の全個人口座数532万のうち470万口座がオンライン取引です。ただし1年前457万口座からの成長はSBIや楽天に比べ、控えめです。

 ネット専業のSBI証券が500万、楽天証券が410万と市場の成長をリードしています。2社を追うのがマネックス証券187万口座、松井証券141万口座、カブドットコム証券から社名変更しauブランド傘下となったauカブコム証券116万口座(いずれも5月時点)です。

ネット証券

図表:主要ネット証券の口座数(楽天証券プレスリリースより)

 これらネット証券大手は2019年年末から「手数料ゼロ」合戦に突入。投信や信用取引はほぼ販売手数料無料、プランによっては現物株取引も1日あたり売買代金50万円まで無料といったキャンペーンを展開しています。老舗証券会社に比べると店舗営業にかかる固定費が少ないため自由度が高く、11月のフィデリティ証券による無料化発表を受けて各社が追随しました。

 今後は一般ユーザーの売買手数料ではなく、投信であれば運用に対する信託報酬、また資産運用などのコンサルティングサービスへの対価、あるいは市場へ株を提供する企業向けの引受サービスなどへ収益源をシフトする動きとみられます。

SBI証券、楽天証券の2強バトルが激化

 行動ログからもSBI・楽天2社の突出が明らか。とくにコロナの影響で日経平均株価の終値が1万6000円台と2016年11月以来の安値を更新した3月には、楽天証券が1010万人、SBI証券が776万人のユーザーを集めました。4月は3月に比べ若干利用が減るものの、5月は各々928万人、691万人に回復しています。

 2社を追うのが同じくネット専業のマネックス証券。ネット証券各社が手数料無料化を掲げ始めた2019年12月に366万人が利用し、2月以降もユーザーが増えています。auカブコム証券、老舗野村證券などはおおよそ200万ユーザー前後で推移していて、多少の波はあるものの楽天・SBIほどの急増ではありませんでした。

 SBI証券とCCCマーケティングとの合弁会社で、Tポイントを使って国内株式が買えるSBIネオモバイル証券や、SMBC日興証券も3月に利用が増えましたが、2019年の最大値を上回るほどではありませんでした。

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図表:主要ネット証券のユーザー数(スマートフォン及びPCで主要株取引アプリとサイトのいずれかを使ったユーザー数。株式売買代金は日本取引所グループ統計月報)

 昨年末から相次いだ手数料の無料化で関心が高まっていたところ、巣ごもりによる可処分時間が増え、そして家計に対するコロナ禍の影響が少なかった給与所得者にとっては、臨時収入となった給付金が原資に。さらに3月の株価暴落で割安感が生じ、新たに投資や運用に関心をもった人が多かったのではないでしょうか

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