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アマゾン、楽天、ヤフー「国内EC市場」に消費税10%が与えた影響とは?

ガジェット

 2019年10月の消費増税から5か月が経とうとしています。食料品軽減税率適用やキャッシュレス決済による店頭の混乱も一段落して、なんとなく10%に慣らされた感の今日このごろですが、みなさんの実感はいかがでしょうか。

アマゾン

※イメージです

 増税が商機だったビジネスも多く、本コーナーでもお伝えしてきた「スマホキャッシュレス決済ユーザー争奪」や「Yahoo!を運営するZホールディングス(ZHD)によるZOZOTOWN買収」、さらにはLINE経営統合といった前哨戦が繰り広げられてきました。

 さらに楽天市場は送料無料戦略を表明し、一部出店者や公正取引委員会との折衝が注目を集めています。消費税10%の影響、そして増税が本当に身にしみるであろう2020年6月末のキャッシュレス還元事業終了までになんとかユーザーを囲い込んでおきたいEC各社の動向を探ってみます。

増税でユーザーが減ったとは言えない

 株式会社ヴァリューズによる国内ユーザー行動ログで主要総合EC利用状況を確認したところ、やはり2019年10月はサイト、アプリともやや落ち込み傾向。ただしブラックフライデーなど毎年恒例セールの成果か11月には各社ユーザーを増やしていて、EC利用状況を見る限り増税で大きく減ったともいえないようです。

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図表 1 主要ECアプリ/サイトののべユーザー数(AmazonはAmazonショッピング、楽天は楽天市場、Yahoo!はYahoo!ショッピング、PayPayはPayPayモール)

 EC別に見るとAmazonと楽天市場はサイト、アプリとも相変わらず熾烈なバトル中。とくにサイトユーザーは、Amazonの後塵を拝してきた楽天市場が2019年9月以降やや逆転傾向です。2強を追うYahoo!ショッピングは10月にPayPayモールを立ち上げEC強化を図ってきましたが、両サイトのユーザーを足し上げたとしても現時点ではその溝が埋まっていません。

 他方、サイトと比べるとユーザー数は少ないものの、あまり増税の影響もなさそうに成長を続けているのがスマホECアプリです。Amazon、楽天とも直近1年ほどは2000万人以上が利用していて、サイトからアプリにシフトしたユーザーも少なくないかもしれません。ZHD軍はスマホでもやや苦戦し、EC専業ではないNTTドコモdマーケットと同程度で推移。PayPayモールはサイトが11月に1500万近いユーザーを獲得したものの他ECには及ばず、存在感を示せませんでした。

 政府統計によると、キャッシュレスポイント還元事業や低所得・子育て世帯向けプレミアム商品券といった景気対策にも関わらず増税後の家計支出は明らかに勢いを欠き、2019年10-12月の家計最終消費支出は対前年比マイナス3.0%成長。とくに耐久財は対前年比マイナス12.8%と大幅減です。4-6月は同5.1%、7-9月は3.2%で消費が増えていたので、増税前の駆け込み需要とその反動というわかりやすい傾向でしょうか。

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図表 2 四半期別の実質成長率(内閣府「形態別国内家計最終消費支出及び財貨・サービス別の輸出入」より)

取扱高は楽天、ヤフーで過去最高

 出店者からECが得る収益モデルは固定家賃や売上に応じた手数料など各社異なるので単純比較可能なデータがないのですが、主要ECの四半期取扱高は楽天、Yahoo!ともこの2年間で最高に。10-12月は毎年流通量が多い時期ではありますが、楽天では1兆530億円、Yahoo!では5780億円分の取引が行われ、見た目の扱い金額は3社の合計約7.6兆円に上っています。

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図表 3 主要ECの取扱高(楽天は市場、トラベル、ブックス、ラクマ等を含む「国内EC」Yahoo!はショッピング、ヤフオク、アスクル等を含む「物販事業」の金額を各社IR資料から転載。Amazonは日本市場における年間売上高の四半期平均の参考値で、2018年は1ドル111円、2019年は同109円で計算)

 経済産業省「電子商取引に関する市場調査(平成30年度)」によると2018年の国内BtoC EC市場規模は約18兆円だったので、2019年が同程度だったとしても10-12月の3か月でその42%が取引された計算。景気自体は増税でマイナス成長を余儀なくされるなかですが、主要ECに関してはいまのところ大打撃というわけではなかったようです。

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