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開成→東大法→メガバンクの29歳が「やりがい転職」でうつ病になった理由

学び

 誰もが羨む超大手企業に就職したにもかかわらず、やりがいを求めてベンチャー企業やスタートアップへ飛び込む東大出身の若手が目立ちます。「自分の力を試したい」「世の中に貢献したい」……その動機はさまざまです。

 しかし、飛び込んだはいいものの、理想と現実のギャップになす術もなく押し潰されてしまう人が多いのも事実。東大法学部卒の桑田亮介さん(仮名・29歳)もその一人です。

東大からメガバンクへ。銀行への疑問を募らせていく

資料を提示する男性サラリーマン

※画像はイメージです(以下、同じ)

「ぶっちゃけ、社会人1年目ぐらいまでの間は、人生何もかもうまくいっていました」

 桑田さんは名門・開成高校出身。現役で東大に合格し、文系学部ヒエラルキーの頂点に君臨する法学部を卒業した後、メガバンクにすんなり内定を決めたまさにエリート中のエリートです。

 メガバンクを受けたのも「周りの友人が受けていたからなんとなく」という“連れション”感覚。

 しかし、銀行員として働き始めて間もなく「このまま今の仕事をしていていいものか」と違和感を持ったと言います。

「1年目から融資業務を担当していたんですが、お客様とやりとりをしているうちに、『自分の仕事は本当に人の役に立っているのだろうか?』と感じ始めたんです。よく『銀行は雨の日には傘を貸さず、晴れの日に傘を貸す』と言われますが、まったくその通りで……」

大震災を経験し、地域おこしの道へ

 日に日に「誰かの役に立つ仕事、人を笑顔にするような仕事がしたい」という想いを募らせていた桑田さんが会社を辞めるきっかけとなったのが、2011年の東日本大震災だったそうです。

「震災で親類が亡くなったんです。そのとき、『自分だっていつ死ぬか分からないんだから、やりたいことをやろう』と腹をくくり、退職届を出しました。

 そして兄の紹介で、地域おこしを専門に行っている団体へ入りました。メンバーは自分を入れてわずか4人。いやー、忙しかったですね」

 業務の中心は、その地域で「起業したい」と考えている若者たちのサポート及びアドバイス。起業について理解は深くなかったものの、銀行で培った金融知識が大いに役立ったそうです。

「最初はとても充実していました。どんどんメディアからの取材も受けるようになりましたし、つきっきりで事業計画書の作成を手伝った同年代の起業家が大成していくのを見ると感無量でしたね。『俺、誰かの役に立てたんだー!』と夕日に向かって叫びたくなりました(笑)」

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