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就活中に海外旅行に…気分屋の兄貴に振り回される、心優しき弟のホンネ

暮らし

兄の自由さは何歳になっても変わらず

 穏やかな性格だった佐々木さんはやられる一方で、とても我慢強い性格に育ったとのこと。そんな2人にやがて進学という岐路が訪れます。

「僕と兄が在学した中学校からは、地元の高校に進学する人間がほとんどでした。しかし兄は『気に入った高校があるからそこに行きたい』と宣言。結果的に、都心にある偏差値の高い高校に進学したんです。進学先は本人の自由ですが、ここまで来ると『身勝手も大したものだな』と感心してしまいました。

 さらに大学受験を控えた兄は『京都の大学に通いたい』と言い出したんです。親からは金銭的な負担などを理由にNGが出ましたが、結果的に希望の大学に合格し、京都に引っ越して行きました」

 佐々木さんも都内での1人暮らしに憧れていた様ですが、息子2人の家賃を払う余裕はないとの理由で佐々木さんは実家から通える大学に進むことに。

「学力的にも兄のほうが優れていたので文句は言いにくかったですけどね。1人暮らしができなかったのは少し残念でした」

海外にいる兄からのメールを企業に送るハメに

振り回される弟

「そして数年後、兄の就活も佳境に入ろうかという時に、突如『気が向いた』といって単身で海外旅行に出かけてしまったんです。兄は海外で就活を続けるつもりで、『就活先から来たメールを指定のアドレスに転送するように』と僕に伝えると、いつの間にか出国していました」

 気軽に海外でWi-FiやSIMカードの入れ替えができるような環境ではなかったので、お兄さんは現地のパソコンでメールを確認・返信していたそうです。

「海外のパソコンは英語入力しかできないため、兄からは英語で文書が送られてきました。せめてローマ字で打ってくれれば良いものの、外国にいることでテンションがおかしくなっていたのかもしれません。仕方なく毎回、僕が和英辞書を片手に、日本語に翻訳して企業に返信していました。3週間ほどそんな生活が続きましたが、もともと英語が苦手なこともあり、正直辛かったです」

 佐々木さんの内助の功もあり、お兄さんは希望していた企業に内定をもらうことができます。自由奔放な性格は魅力的ではありますが、支えてくれる周囲の人に感謝を忘れないようにしてほしいものです。

特集・兄弟姉妹のトホホな話

<TEXT/ホンマカズヤ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>

フリーライター/心理カウンセラー。男女関係、失敗談、心理学などアタマとココロに関する記事を主に執筆。朝と雨とウイスキーが好き
Twitter:@kazuya_mental

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