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「初任給が入ってない…」また寄せられた新人の悲鳴、対処法は?

学び

賃金の支払い、締め切りは明示すべき事項

 給料の支払いが遅くなったことに違和感があったものの、「1か月待てば解消される問題だから」という理由で、ことを荒立てず終わりにしたいのが本音のようだ。こういった場合、どのような対策が考えられるのか。また、いつまで黙っていてよいのか、あとから損害などを請求することができるのか――。労働問題に詳しい、特定社会保険労務士の澤上貴子氏に聞いた。

「松田さんのお話では、給与の支払日について全く説明がなかったとのことですが、給与だけではなく、そもそも他の労働条件はどのようになっているのでしょうか。

 労働契約を結ぶときには、労働条件を明示することが使用者には義務付けられています(労働基準法第15条第1項、労働基準法施行規則第5条第1項)。賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り及び支払いの時期は、必ず明示しなければならないとされる事項のひとつです。

 労働条件の明示がなければ、労働契約期間がいつまでなのか、始業及び終業の時刻、休日や休暇などを全く知らされていないことになってしまいます。もし賃金含め、そもそも労働条件全般が明示されていないのであれば、労働基準法に違反する行為だと言えます」

支払日が守られないなら労基署に相談を

退職

 一方、もともと4月に支払われる給与が何らかの理由で遅延し、未払いとなっている場合は、労働者としてはどのような対策が考えられるでしょうか。

「まずは労働者側も状況をしっかりと確認し、疑問があれば納得が得られるまで説明を求める姿勢が当然、必要です。働いていればそのうち給与が出るだろうというような曖昧な意識は改めるべきでしょう。給与が遅延、もしくは支払われないのであれば、やはりまずは会社に確認すること。

 賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払われなければならないと定められています(労働基準法第24条第2項)。給与の支払日が守られないようであれば、会社を管轄する労働基準監督署へ相談するべきです。

 賃金の請求権の時効は2年ですが、当然このようなケースであれば、遅延が生じた時点で相談しましょう。支払いが行われない場合は労働審判や訴訟となるケースもあるでしょう。万が一会社が倒産した場合は、未払い賃金の一部を国が立て替えてくれる制度もあります」

 自らの待遇や雇用について疑問を感じたら、曖昧にせず、まずは上司や労基署に相談してみよう。

<取材・文/シルバー井荻>

【澤上貴子】
 さわかみ社会保険労務士事務所代表。特定社会保険労務士/健康経営エキスパートアドバイザー。会社の発展を支え、従業員のモチベーションを育む労務コンサルティングを目指す。20年近い豊富な実務経験にもとづく、的確で時には攻めの姿勢のアドバイスと、きめ細やかな対応が評価を得ている。労働諸法令に関する指導・相談・手続、その他多岐に亘る分野において、良心と強い責任感をもって展開している

平成生まれの編集者・ライターです。赤羽と阿佐ヶ谷に出没します。ビジネスサイトの編集長もやってました。

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