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山手線駅の「AIロボット」全員に話しかけてみたら…爆笑!無視やウソ回答も

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 日常にAIが導入されていることも珍しくなくなってきた昨今。いつか駅員さんがいなくても「○○線の乗り換えはどこ?」「何口から出ればいいの?」といった案内をAIがしてくれるかも?

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AIロボットを前に不敵に微笑む、筆者(左)

 そんな未来を予感させるJR東日本の「案内AIみんなで育てようプロジェクト」。山手線の6駅にさまざまなメーカーの案内AIシステムを設置し、利用されるなかでAIが学習し、システム構築を目指す実証実験です。

 2018年12月から約4か月の期間限定の取り組みで、今月15日での終了を控えるなか、どれだけの実力をつけたのでしょうか。全駅を回って試してみると、個性豊かなロボットたちのいろんな一面を見ることができました。

「何かお困りですか?」「困ってねぇよ」

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AI 道案内 Pepper (ソフトバンク、日本アイ・ビー・エム)

 新宿駅からお手並みを拝見。東口改札にいるのはAIロボットの中でも知名度の高いペッパーくんです。左のペッパーくんは制服を着ているのに、なぜかもう1台は裸でした。

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 まずは簡単なコミュニケーションから試してみます。日本語を選択して話しかけます。

「君の名は」

 質問を受けると「一生懸命考えていますよぉ!」と頑張りをアピールしながら回答を考えるペッパーくん。期待が高まります。

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ペッパーくん「あれれ、ごめんなさい。うまく理解できなかったよ。もう一度試していただけますか」

「……?」

 残念。言い回しを変えて何度かチャレンジしましたが、反応は同じ。雑談は対応していないようです。では本格的に周辺情報を聞いてみましょうか。

「新宿区役所はどこですか」

ペッパーくん「一生懸命考えていますよぉ!」

~数秒後~

ペッパーくん「あれれ、ごめんなさい。うまく理解できなかったよ。もう一度試していただけますか」

 新宿区役所もダメ、新宿アルタもダメ。じゃあ何がわかるんだ? と次第にこちらが質問をペッパーくんのレベルに合わせるようになり、歌舞伎町なら案内できることがわかりました。

新宿駅の構内なら案内できるかな……

 なによりも「一生懸命考えてますよぉ!」という必死なアピールが印象に残り、結果より努力を見てほしいイマドキの若者のようです。今度は駅構内の案内を試してみます。

「山手線はどこですか」

ペッパーくん「一生懸命考えていますよぉ!」

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「画面を写真に撮ってもいいですよー!」と得意げなペッパーくん

ペッパーくん「山手線は改札に入って真っ直ぐ進み、原宿方面は14番線、池袋方面は15番線ホームです」

 なんと地図付きで案内してくれました! 粗くてちょっと読み取りにくいですが、どこに移動すれば山手線に乗れるのか、一応、理解できる範囲です。ほかにも総武線や埼京線を聞いてみたところ、なぜか湘南新宿ラインは答えられなかったものの、おおむね対応してもらえました。

 JR以外の乗り換えは、音声案内のみで地図は表示されず惜しいところ。トイレも答えられました。案内を終えると画面に「解決した」「解決しなかった」という表示が出るので、選択して評価します。こうして学習して知識を蓄積させていくようです。

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ペッパーくん。都会の喧騒の中で佇み、独特の存在感を放っている

 しかし、何か尋ねたいことがある人はペッパーくんよりもすぐ隣にいる改札の駅員さんに声をかけるので、ペッパー君が出る幕はありません。やっと声をかけられても、質問のレベルが合わずに「あれれ、ごめんなさい。うまく理解できなかったよ」と答えるばかりです。

 それでも一応やる気はあるようで、ペッパーくんは付近に人がいるのを察知すると「何かお困りですか? 道をご案内できます!」と懸命に声かけをしています。しかし、「困ってねぇよ」とギャルに言われていて不憫に思いました。「ペッパーくんの近くにいるよ~」と電話している人もいて、本来の目的ではなく待ち合わせスポットと化していました。

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■新宿駅のペッパーくん

音声の聞き取り:★★☆☆☆
知識量:★☆☆☆☆
案内のわかりやすさ:★★☆☆☆
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