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トランプ中間選挙の下院敗北と、国境「麻薬カルテル」の闇

 11月6日(現地時間)に行われたアメリカの中間選挙は、ドナルド・トランプ大統領が就任以来、国民によって初めて評価された重要な選挙でした。

ドナルド・トランプ

photo by Gage Skidmore

 選挙前、大統領と上下両院は共和党であり、アメリカの景気は好調で雇用も拡大中。しかし、中間選挙では大統領には厳しい評価が下されることが通例で、与党が不利になりがちです。今回の選挙でも下院において民主党が多数を制しました。

 上院は相変わらず共和党が過半数を占めましたが、トランプ大統領にとってこの結果はかなり痛く、今後は「ねじれ国会」で政権の運営が困難になり最悪の場合、ロシアの選挙介入や納税申告などの疑惑を民主党に追及されるかもしれません。

 なぜ中間選挙で与党が伸び悩んでしまったのか。11月16日に公開される映画『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』にそのヒントが潜んでいました。

ドラッグと銃が行き来するアメリカ国境

【『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』あらすじ】
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アメリカ国内のスーパーマーケットで自爆テロ事件が発生し、死者は15人。犯人一味がメキシコ経由でアメリカに不法入国したと推測した政府は、国境地帯で密入国ビジネスを仕切る麻薬カルテルを弱体化する任務をCIA特別捜査官マット・グレイヴァー(ジョシュ・ブローリン)に命じます。マットは旧知の仲である暗殺者アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)に協力を依頼。麻薬王の娘イザベル(イザベラ・モナー)を誘拐してカルテル同士の内戦を誘発しようと企てますが、予測もつかない事件が起きて……。
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映画

『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』

 現在、メキシコの麻薬カルテルを通して、アメリカからメキシコへは銃、メキシコからアメリカへはドラッグが不正に持ち込まれているといわれています。

「USA TODAY紙」(2017年4月4日)によると、2009年から2014年までメキシコで押収された銃の70%はアメリカから来ており、その数は7万3000丁にも上るのだとか。

 一方、メキシコからアメリカに入ったドラッグの売り上げ金額は640億ドル(約7兆2870億円/1ドル=113.86円)になるそう。

 麻薬カルテルはこの利益から銃を買い、組織を強化したり、メキシコ政府、裁判官、移民局や税関を買収したりと、メキシコの法律を骨抜きにしているのです。

麻薬カルテルのおいしいビジネスは?

 現在、ドラッグを“生産”する手間がかからない密入国ビジネスはカルテルにとって旨味のあるビジネスとなっていて、本作でもその様子が語られています。

 メキシコだけではなく中米から豊かなアメリカへ移民したい人間は次から次へと現れます……。そんな人たちから手数料を搾取して密入国させるのは危険を伴いますが、実はコストパフォーマンスがよいビジネスでもあります。

 というのは、不法移民に国境を越えさせるという実際の任務はカルテルの下請けをする若いギャングに任せておけばよいので、カルテルにとっては失敗しても痛くもかゆくもないからです。 

 本作でも描かれているように、14歳の少年ミゲル(イライジャ・ロドリゲス)が従兄弟に誘われるがままにカルテルの世界へと足を踏み入れ、不法移民が国境を渡る手伝いをするようになります。

 事実、警察官に逮捕されたり殺されたりするのは、このような名もなき若者。密入国ビジネスはカルテルにとってハイリターン・ローリスクの商売というわけです。