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【前編】英語力ゼロの私がイギリス本社で働くことになった時の英語勉強法

学び

日本で一番売れているヘアケアブランドLUXのブランドマネージャー、Doveのブランド責任者などを経て独立した、株式会社Brandism 代表取締役社長 木村元(キムラ・ツカサ)によるコラム。「一流のマーケターになる方法」というテーマについて、経験談をベースに語ります。

※画像はイメージです(以下同)

外資系企業に勤めていたこともあり、「英語得意なんですね」「留学していたんですか」など言っていただくことがあるのですが、私は海外経験がないまま新卒でユニリーバ・ジャパンへ入社しました。

周りの社員に比べて英語が苦手だったのですが、英語が必要ということは認識していたので、自己流で勉強。しかし、私は外資系企業といっても営業職で入社したため、小売店の担当者と話すことがメインです。

英語を使う機会はほぼなく、上司も営業時代は日本人であったため、日常的に英語を使用する機会はありません。オフィス内は日本人が80%という状況だったので、なにか分からないことがあっても同僚から日本語でフォローがもらえました。

転機となったのは、マーケティング部へ異動してからです。入社3年目で異動したマーケティング部門は日常的に英語を使う機会がありました。さらに、運良くイギリスの本社で働く機会を得たのです。

イギリスに渡ってからは周りに日本人は全くいません。はじめは分からないことが多く、非常に苦労しました。英語がわからなければ戦力外になる状況です。厳しい状況でしたが何とか生き残ることができました。

以上の経緯を辿った私が英語をどのように勉強したかをお伝えいたします。

海外に行って簡単に英語力は伸びない

先に結論を述べるとイギリスにいったことで英語力が飛躍的に伸びたわけではありません。よく言われることですが、大学生が海外へ留学しても日本人だけで集まっていると英語力が伸びないように、海外に行っただけで英語力は伸びません。

私の場合は1日のほとんどが英語で話す環境であったにも関わらず、英語力が飛躍的には伸びませんでした。英語の学習をさぼっていたわけでも、元々の英語力が高かったわけでもありません。

昔、東進ハイスクールのテレビCMで「英語なんて言葉なんだ、こんなものやれば誰だってできる」というものがありましたが、やれば誰だってできるようになるのはある一定レベルまでです。

一方で、会議の進行やコミュニケーションができるようにはなりました。この点が海外で働くうえで重要な点です。

英語力より大事なもの

英語力は飛躍的に伸びていないというお話をしましたが……ある時から英語力自体が気になる機会は大幅に減りました。

具体的には、英語で会議することへの心理的な抵抗が大幅に減りました。理由としては、心持ちの変化にあります。イギリスへ行ったときは、私以外の外国人はすべて英語がうまいのだろうと思っていましたが、実際にはそうでなかったのです。

あるイタリア人は、英語が非常に下手なのですが、人柄が明るく英語力に関係なくみなが話を聞いてもらえていました。また、非英語圏出身の役員も英語がそれほどうまいとは感じられませんでしたが、社内で評価されていました。

それまで英語ができないと、土俵にすらたてていないと思っていた私にとっては衝撃的な事実です。話しやすい、話を聞きたくなる雰囲気を出すことが、非英語圏出身者にとって重要であるとその時に痛感したんです。

逆に英語圏出身であっても、まくしたてるように話している場合は、「うわっ、この人の話、聞きたないな、嫌やわぁ」と思うこともありました。

英語であっても、日本語であっても、内容以前に話し方や普段の雰囲気が大事。このことを早めに実感できたことは、自分にとってプラスになりました。

英語自体よりも発言内容が重要

その上で内容が重要となります。

会議における核心をとらえている発言や、決して話す量が多くなくてもここぞというときに、大事なポイントを抑えた発言ができている場合は、英語力に関係なく耳を傾けてくれます。

イギリスにいたときは日本人はほとんどいませんでしたが、数少ない日本人の同僚で、日本人ではなかなかつくことが難しい高い役職を務めていた方がいました。その方は発言が非常にクリティカルだったため、周りの人が常に耳を傾けてたほどです。

「こいつがなにか話すぞ、大事そうだから聞いておこう」と周囲から思われることで、英語力が多少低い部分も補うことが可能となります。

幼少期から海外で暮らす、もしくはインターナショナルスクールで海外にいるような環境を得ている、そんな場合を除くと後天的に得られる英語の話す力は限界があるかもしれません(環境を言い訳にした私の努力不足という一面も否定しません)。

しかし、会議中において何を話すか、どのように話すかといった点は後天的に身につけるものであり、日本語英語に関係なく業務に慣れていくことで身につく能力です。

英語で話すということに気を取られてしまい、中身をどのように話すかにあまり重点を置いていない若手に対しては「英語力は今すぐ伸びないから、まずは日本語だと想定したときにどのような準備をするか考えてごらん」というアドバイスをしています。

英語であることで気後れして、本来の持っている力を出せなくなるのは本末転倒です。

「英語力ゼロの私がイギリス本社で働くことになった時の英語勉強法」、前編では勉強以前に大事なポイントを説明いたしました。後編では、肝心な勉強方法について触れていきます。

<TEXT/株式会社Brandism 代表取締役社長 木村 元>

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株式会社Brandism
代表取締役

ユニリーバに2009年に入社。約12年間、ラックスやダヴなどのブランドマーケティングを経験。日本国内のプロモーションから、グローバルのブランド戦略や製品開発まで、幅広く従事。ロンドン本社勤務後にユニリーバ・ジャパンにおけるスキンクレンジングカテゴリーならびにダヴブランドを統括。ユニリーバ・グループであるラフラ・ジャパン株式会社の代表取締役を経験。2021年より株式会社Brandismを創業し、ToBからToCまで、幅広くマーケティングのサポートを行なっている。

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