成長が止まってしまう若手マーケターとは【一流マーケターになる方法】
日本で一番売れているヘアケアブランドLUXのブランドマネージャー、Doveのブランド責任者などを経て独立した、株式会社Brandism 代表取締役社長 木村元(キムラ・ツカサ)によるコラム。「一流のマーケターになる方法」というテーマについて、経験談をベースに語ります。
マーケターは常に成長することを求められます。個人の成長がブランドとしての成長、そして会社の成長につながるといっても過言ではありません。私はこれまで社内外問わず、様々なマーケターと接してきましたが、その後ブランドマネージャーに昇進できる方とそうでない方ではっきりと分かれてしまうと感じました。
今回は、成長が止まってしまうマーケターというテーマで執筆いたします。私自身も成長が停滞していた時期もあり、自戒を込めた内容となっております。
目次
ブランドマネージャーとは
会社によって呼び方は違いますが、本記事で指すブランドマネージャーとは、ブランドの責任者です。人によっては、ブランドマネージャーのことをブランドのCEOと呼ぶこともあります。
ブランドマネージャーによってブランドのマーケティング戦略や売上が大きく変わってきます。意思決定の連続であり、マーケターとしてのスキルを開花させる機会です。
ブランドマネージャーは外資系では早ければ4年目で任されることもありますし、8年目で任されることもあり、昇進スピードはまちまち。年数ではなくブランドマネージャーの資質を持っていることが重要です。
ブランドマネージャーまで昇進できる人とできない人の違い
ブランドマネージャーは若手が目指す役職としての最初の関門です。ブランドマネージャーは昇進の年数に差はあれど確実に実績を積むと昇進できる可能性が高い役職です。
ブランドマネージャーになれる人とそうでない人の差はなにか。私も若手の頃常に考えていました。外資系消費財メーカーは部門別採用であるため新卒からマーケターとしてのキャリアを積んでいる方が大半です。私は営業部門に3年ほど在籍し、4年目でマーケティング部門に異動したため、同僚に比べてキャリアとしては出遅れる形となっていました。
ブランドマネージャーに早く昇進したかった私は、その職になるためにはどうしたらよいか考えていくなかで、昇進できる人の共通点をある程度見つけることができました。
1)総合的に全ての業務を80点以上こなせるタイプ
私はこのタイプでしたが、特別になにかが秀でているわけではないですが、全ての業務を満遍なくこなせるタイプです。マーケティングの業務はとにかく作業量が多く、多岐に渡る業務をこなす必要があります。
少しでも仕事に詰まってしまうと、他の仕事が雪だるま式に増えていくため欠点が1つでもあってはいけません。
他の業界の仕事をしたことがないのでわかりませんが、マーケターほど業務量が多い職種はなかなかないかもしれません。
業務量の多さを象徴するのが、会議の多さです。1日8時間が8個の会議で埋まってしまうこともあります。営業部門、海外オフィスのマーケティング部門、広告代理店、印刷会社、生産管理、研究開発、営業、チーム内の打ち合わせで1日埋まることも頻繁にありました。
マーケティング部門がハブになっている以上、会議は避けて通れません。いかに会議を早く終わらせて自分の作業の時間をとるかが、若手マーケターにとって問われるスキルです。
2)特定のスキルに秀でているタイプ
いわゆる一芸に秀でているマーケターがブランドマネージャーに昇進することもあります。例えばデジタルマーケティング領域に明るいといった理由やリーダーシップが強烈に強いといった理由で昇進することもあります。
昇進基準は会社によって違います。なにか1つが秀でているから昇進できるわけではないのですが、一芸のおかげで他のスキルも総合的に引き上げられて、トータルとしてブランドマネージャーとしての基準を満たすイメージです。
3)上司の指示を徹底的に守るタイプ
マーケティング部門も他部門や多職種と同じく基本的には上司の評価が重要です。上司に評価されなければ昇進することはありません。
マーケターは気が強く言い返して対立する方も多い中で、忠実に上司の指示を守ることで昇進することもあります。
4)他部署からの信頼が厚いタイプ
マーケティング部門はマーケティング部門内だけで仕事が簡潔することはありません。営業部門・研究開発・生産管理・ファイナンスといった様々な部門と調整しながら仕事を進めねばなりません。
一般の方が想像するような、マーケティング部門で必要なクリエイティビティはイマイチでも、他部門と仕事を進めることに長けていたら、プロジェクトはうまく進んでいきます。
他部署からリスペクトされているマーケターはあまり多くない印象ですが、他部署に求められる経験やスキルがあるとアドバンテージになります。例えば、私は珍しく営業経験があったので、ドラッグストアとの交渉方法を熟知したうえでマーケティング戦略を立てることができたため、営業部門からは好かれていました。
ブランドマネージャーからさらに昇進する人とは
ブランドマネージャーの上の役職は会社によって異なりますが、例えばディレクターという役職があります。ブランドマネージャーやシニアマネージャーを経て昇進する役職がディレクターです。
ディレクターに昇進するために必要なことはなにかというと、運ではないかと思っています。少なくとも日本市場においては各社、ディレクターのポジションが少なくなって来ており、ポジションの絶対数自体が少ないため、実力があっても席が空かないので昇進できずに転職する方もいらっしゃいました。コンサルティングファームのようにパートナーの席数が多い会社をみると以前はうらやましいなと思うこともありました。
そのため、必要なスキルもありますが、運とタイミングがあるのも事実です。
部下を育成する力や、グローバルでの人脈、マネージャーとしての成果など様々な要素が問われるのも事実です。そうしたスキル、経験がある前提で運も必要になってくる世界です。
<TEXT/株式会社Brandism 代表取締役社長 木村 元>
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