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マーケターが身につけるべきスキルとは【一流マーケターになる方法】

学び

日本で一番売れているヘアケアブランドLUXのブランドマネージャー、Doveのブランド責任者などを経て独立した、株式会社Brandism 代表取締役社長 木村元(キムラ・ツカサ)によるコラム。「一流のマーケターになる方法」というテーマについて、経験談をベースに語ります。

一流マーケターになる方法〜マーケティング視点で見る世界〜

マーケターが身につけるスキルは、以下に大別されます。

1.プロジェクトマネジメントスキル

外資系消費財メーカーのマーケティング部門は、明確にマーケティング部門がリーダーとなってプロジェクトが進む組織構成になっています。マーケティング部門に所属していると年次に関係なく、他部門の偉い人に対して指示を出して意思決定する場面が多く出てきます。

決してマーケティング部門が偉いという話ではなく、組織構造上、あらゆる情報を複数の部門から集約して最終意思決定をするのがマーケティング部門なのです。

専門性の高い他部門をプロジェクトマネジメント担当者として、まとめあげるスキルが問われます。

2.代理店マネジメントスキル

マーケティング部門は社外の広告代理店や印刷会社などと働く機会が非常に多くあります。特に大手広告代理店のパフォーマンスによってブランドの出来は大きく左右されます。

代理店と働いているとついつい偉い態度をとるマーケターもいますが、メーカーが側にいるから偉いということは全くなく、むしろ対等にビジネスを伸ばすパートナーとなるべきです。

代理店をうまくマネジメントして最高のパフォーマンスを引き出すにはどうしたらよいか考える必要があります。

3.PL作成スキル

PL作成

※画像はイメージです(以下同)

マーケティング部門は主に単年の事業計画が求められます。外資系企業の日本オフィスには、組織の性質上、バランスシート(貸借対照表のこと。ここでは持っている現預金をどう使うかという経営者的な思考について言及)という概念があまりなく、持っている現金を活用し、さらに外部機関からお金を調達して、投資をして事業を伸ばすというより、グローバルから与えられた予算のなかで単年の事業計画を立てることが求められます。

役職がある程度あがってくると複数年にわたっての事業計画を作る必要がありますが、単年で結果を出すことはマストです。

日系のほうがもう少し長い目で見てくれるということも聞いたことはありますが、与えられた範囲と結果で出す外資系はシビアな場面も多くあります。

4.クリエイティブスキル

さて、4番目がクリエイティブスキルです。マーケティングの業務を経験したことがない方にとっては、マーケティングというとクリエイティブなアイデアを出すことを求められる仕事と思われているかもしれません。

実際はクリエイティブなアイデアを考えるのは広告代理店の仕事であり、マーケターはクリエイティブなアイデアを引き出すためのアシストをしていると言ったほうが近いかもしれません。

クリエイティブなアイデアを出す場面はマーケターも多いですし、クリエイティブなアイデアを考えている時間は楽しいです。しかし、マーケターはブランドの売上と利益を伸ばすことが重要な役割なので、クリエイティブなことを考えることだけに時間を費やしていてはブランドの成果がでません。

与えられた時間という資源をどれだけ適切に分配できるかはマーケターに求められる重要な仕事の一つです。

若手マーケターが習得するスキル

プロジェクトマネジメント

上記のマーケターが求められる役割のなかでもっとも重要なことは、「1.プロジェクトマネジメントスキル」です。若手の間は際立ったスキルもないので全体のプロジェクトの監視役、先導役として一生懸命働く必要があります。

リーダーシップが求められるのはプロジェクトマネジメントが必要だからです。意見や主張が異なり、対立するなかで、リーダーとして意思決定をしなければなりません。

それぞれの主張が正しい場合も少なくありません。その場合、自分自身が意思決定した道を正解とすべく自分と仲間を信じて突き進むべきです。意思決定をできる人間になってこそ、一流マーケターです。

<TEXT/株式会社Brandism 代表取締役社長 木村 元>

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株式会社Brandism
代表取締役

ユニリーバに2009年に入社。約12年間、ラックスやダヴなどのブランドマーケティングを経験。日本国内のプロモーションから、グローバルのブランド戦略や製品開発まで、幅広く従事。ロンドン本社勤務後にユニリーバ・ジャパンにおけるスキンクレンジングカテゴリーならびにダヴブランドを統括。ユニリーバ・グループであるラフラ・ジャパン株式会社の代表取締役を経験。2021年より株式会社Brandismを創業し、ToBからToCまで、幅広くマーケティングのサポートを行なっている。

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