サイゼリヤが独り勝ちのファミレス業界。ロイホ、ガスト…目指すは“ユニクロ化”か
中国に今までない業態だったことが功を奏す
サイゼリヤの2019/8期は規模拡大で国内外の合計店舗数が1500店舗を突破しました。成長が鈍化した日本事業は既存店の不振で売上高が微減となりましたが、アジア事業では店舗数の増加や新規顧客の獲得により8%の増収を記録しました。
中国ではファストフード形式のイタリアンは定着しておらず、日本でサイゼリヤが普及した理由と同様に、手ごろなイタリアンが消費者をつかみ、規模拡大に成功しました。ピザの味が甘いなど現地の味覚に合わせたレシピで提供されているようです。なお、店舗数では国内のほうが2倍以上多いですが、アジア事業のセグメント利益は国内事業に迫る勢いとなっています。
翌2020/8期はコロナの影響を受け、特に国内事業が時短営業や臨時休業などの影響で約20%の減収となりました。セグメント利益も赤字化しています。一方でアジア事業では北京で大半の店舗が一斉休業を実施したため16%の減収となったものの、もともと利益率が高かったことから何とか黒字を維持しました。
コロナ以前の水準まで回復する
サイゼリヤの2021/8期は依然コロナが続き、国内事業は約10%の減収となりました。一方でアジア事業は中国経済が世界に先立って回復したことから28%の増収となり、セグメント利益はコロナ以前の水準まで回復しました。海外事業の好調が営業損失の縮小に寄与しています。
2022/8期はまん延防止等重点措置の解除もあって国内事業が回復し、売上高は1,011億円と前年比で17%伸びました。しかしながらエネルギー価格高騰による影響が大きく、依然セグメント利益は赤字となっています。アジア事業は中国のゼロコロナ政策が懸念されるところでしたが、店舗数拡大により7%の増収を記録しました。ただし、利益面では労務費や設備費などの販管費が膨らんだことでセグメント利益は半減しました。
業績推移を見ると日本事業が赤字となった一方、利益率の高いアジア事業が全社の業績を牽引した形です。今後については設備改善やデジタル化などで生産性向上に努めつつ、新規出店による規模拡大も継続するようです。国内はここ5年間、店舗数が横ばいのため出店の余地は少ないように見えますが、中国では引き続き店舗数を増やすとみられます。