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サイゼリヤが独り勝ちのファミレス業界。ロイホ、ガスト…目指すは“ユニクロ化”か

ビジネス

主力のロイヤルホストは店舗数を維持したが…

てんや

天丼てんや ©Nagahisa_Design

 翌2020/12期はロイヤルホストで国産素材を使用したメニューを提供するなど引き続き高付加価値化を狙いましたが、コロナの影響が大きく、事業売上高は大幅な減収となりました。御多分に洩れずデリバリー・テイクアウト対応もしていますが、やはり減収分を補うことはできていません。ロイヤルホストの店舗数は維持した一方、てんやが32店舗縮小するなど外食事業全体では店舗数が減少しました

 2021/12期は緊急事態宣言やまん防の発令が続き、時短営業や酒類提供の中止を実施したことで前年度よりもセグメント売上高が減少しました。なお、てんやが引き続き15店舗縮小したものの、主力のロイヤルホストは1店舗増えています。利益面では時短営業を実施したことによる協力金収入があり、セグメント利益は黒字化を達成しました

 翌2022/12期は第3四半期の段階で外食事業の売上高が389億円と前年の321億円を上回っており、ある程度は回復しているようです。

 今後についてはすかいらーくHDやサイゼリヤと同様、利益率の向上を狙う施策を進めるようです。高付加価値商品の投入やDX推進による店舗の効率性向上などが具体例としてあげられています。なお、積極的な新規出店は計画されておらず、これ以上の規模拡大は限界を迎えているのかもしれません

国内市場は限界…「ユニクロ化」できるか

 すかいらーくHD、サイゼリヤ、ロイヤルHDと3社の業績を見ていきましたが、いずれもコロナ禍では業績が大幅に悪化したことが分かります。なお今後について、3社とも生産性向上や高効率化などの施策を公表しており、いまだ低迷している利益をコロナ以前の水準に回復させようとしています。

 ただし、エネルギー価格や原材料費の高騰、消費者の実質賃金の低下が足かせとなるでしょう。国内の店舗数は減少もしくは横ばいとなっていることから、3社とも国内市場の限界を感じているはずです。現状、3社の中で規模拡大が見込まれるのは中国事業が好調なサイゼリヤしかありません

 上海・北京・広州で成功している分、他都市部への展開も期待されます。いずれユニクロのように海外の店舗数が国内を上回るかもしれません。すかいらーくHD・ロイヤルHDも海外進出していますが規模は小さく、全社の業績を支えるにはほど遠い水準です。

<TEXT/経済ライター 山口伸>

化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー

Twitter:@shin_yamaguchi_

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