赤字続きの「老舗文房具メーカー」の行く末。買収され、視線は海外に | bizSPA!フレッシュ

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赤字続きの「老舗文房具メーカー」の行く末。買収され、視線は海外に

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 2022年9月30日、文房具メーカーの「ぺんてる」がオフィス家具や事務用品大手のプラスに買収されました。コクヨが保有していたぺんてるの株式45.6%をプラスに譲渡したため、ここに3年に渡るぺんてる争奪戦に終止符が打たれました。

 コクヨは2019年にぺんてるに対して敵対的買収を仕掛けました。ぺんてるは株式を公開していません。非上場企業にTOBを仕掛けるほどコクヨはぺんてるを欲していました。ぺんてるの強みは海外事業。争奪戦の中心には海外ネットワークの構築があります。

ぺんてる

ぺんてる本社のオブジェ ©Ned Snowman

ぺんてるは3期連続の赤字

 プラスの2021年12月期の売上高は前期比0.3%減の977億6900万円、経常利益は前期の5.4倍となる67億200万円でした。新型コロナウイルス感染拡大でオフィスを取り巻く環境が大きく変化。2020年12月期は利益を落としましたが、2021年12月期は急回復しました。

 経常利益率は2020年12月期の1.3%から6.9%へと5.6ポイント上昇しています。プラスは2020年6月にセーラー万年筆に出資を決定。持株比率を14.3%から57.7%に高めました。2021年12月期はセーラー万年筆と共同でD2Cブランド「ancora(アンコーラ)」を立ち上げています。コロナ禍で労働環境が激変する中でも、プラスは攻めの姿勢を貫いているメーカーと言えるでしょう。

ぺんてる

ぺんてるとプラスの売上高(各社決算より筆者作成、以下同じ)

 一方、ぺんてるは2022年3月期の売上高が前期比20.6%増の216億5700万円。6億1200万円の経常損失を計上しました。ぺんてるは海外の販売比率が高く、売上高のおよそ6割を海外事業で稼いでいると言われています。しかし、コロナ禍の影響もあって2020年3月期から赤字に陥っています。

ぺんてる

ぺんてるとプラスの経常利益

 ぺんてるを加えたプラスの売上高は1000億円を超えます。買収してしばらくは利益貢献が薄いと考えられますが、ぺんてるの海外ネットワークが生かせる点はメリットが大きいでしょう。

1割もの文房具需要を吹き飛んだ

ぺんてる

※矢野経済研究所「文具・事務用品市場に関する調査を実施(2021年)」より

 矢野経済研究所によると、2021年度の文具・事務用品市場規模(予測)は4118億円。2020年度と比較して1.0%増加しました。しかし、コロナ前の2019年度と比較すると7.3%減少しています。国内の文房具需要は緩やかに縮小していましたが、コロナ禍で加速。2019年度から2020年度にかけては8.2%も市場規模を落としていました

 コロナがおよそ1割もの文房具需要を吹き飛ばしてしまったのです。

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