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“2兆円企業”日本電産が抱える後継者問題の危うさ。73歳の新社長まで登場

ビジネス

旧体制から脱するチャンスを逃した

日本電産

画像は公式サイトより

 日本電産は永守氏をトップとした、典型的なヒエラルキー組織のようです。思想に心酔する人でなければ続きません。冒頭に紹介したオンライン記者会見に会ったように、永守氏はそのような人を「子分」と呼んでいます。後継者問題を解決すべく、子分を手塩にかけて育ててきたのであれば、すでにCEO候補は育っているでしょう。小部氏がそうだったとしても、あまりに高齢です。

 売上高10兆円企業を目指していますが、それこそ、権限移譲ができなければ達成できるようには思えません。関氏は穏健派として知られ、永守氏とは真逆のタイプのようです。日本電産は旧体制から脱するチャンスを逃したのです

 素早く独裁体制を解体し、経営の在り方そのものを変えなければなりません。永守イズムを後継者に叩き込むことが問題を解決することにはならないのです。日本電産の後継者問題は何度も白紙に戻されており、容易には解決しないでしょう。長引けば長引くほど会社にはネガティブな影響しか与えません。

<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。現在はコンサルタントという名の中小企業経営者のサンドバッグ役を務めるかたわら、経済の面白さを広く伝えるため、開示情報を分析した記事を書いている。好きな言葉は美食家・北大路魯山人の「硬め、麺少なめ、ニンニクマシマシ」

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