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約30分で日用品が届くWolt。隆盛のデリバリーサービス業界で勝ち抜く策とは

ビジネス

ローカルに根ざし、受け入れられる土壌づくりを

 そこから順当にサービスエリアを拡大し、Woltは現在のところ23都道府県、39エリアにまで拡大を見せている。その理由について、髙木氏は「ヘルシンキが出自のサービスだからこそ、スピード感ある社内体制が整っている」とし、次のように説明する。

「ヘルシンキは人口が50万人ほどで鹿児島県と同じサイズです。創業者のMiki Kuusiは初めからグローバル視点で展開していくのを前提に、サービスを作ってきた。とりわけ日本はローカル色が強く、いわば中小都市の集合体として捉えることができます。

 最初にサービスを開始した広島では、本国と日本のWolt社員数名、さらに僅かな配達パートナーからスタートしました。営業も通訳を連れて回るなど、徹底的に現場主義を貫き、地元の方々と関係を築きました

 また、ヘルシンキは雪が降る地域なので、雪の中でも安定的にサービスのオペレーションを回すノウハウを持っています。日本でも北海道や東北地方といった降雪地域では、他社に比べて地域特性を理解したフードデリバリーを行っているのも優位性につながっています」

配達パートナーと交流イベントも

Wolt Japan

内製化しているWoltのカスタマーサポートチーム

 フードデリバリーサービスと言えば、Uber Eatsや出前館、menuなど、競合他社の隆盛も際立っているが、Woltはどのような差別化を図っているのだろうか。高木氏は「目先の利益だけではなく、長期的な視点で取り組むよう心がけている」と話す。

「『We make cities better places to live(街に住む人をより良くしていく)』というビジョンのもと、ユーザーの継続率を重要視しています。そのため、カスタマーサポートチームを内製化し、配達パートナー、レストラン、ユーザーそれぞれに対して迅速にサポートできるようにしています。

 また、配達パートナーとラウンドテーブルを開いたり、各エリアを見ているオペレーションチーム主体で『ファンアクティビティ』を企画して配達先の地域の写真を投稿し合ったり、交流イベントを開いたりと、Woltの配達パートナーとして稼働するための帰属意識の醸成にも取り組んでいます」

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