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赤字の大戸屋「おかわり自由」が試金石に。コスト削減の成果も

ビジネス

「牛角」などを運営する外食大手コロワイドが、定食チェーンの大戸屋ホールディングスを買収して2年近くが過ぎようとしています。コロナ禍という逆風の中、外食企業が敵対的TOBを仕掛けるという前代未聞の出来事でした。

大戸屋

大戸屋 新宿東口中央通り店

 コロワイドは仕入れや物流コストの効率化を図り、オペレーションを改善して人件費を削減するなど、徹底的なコストカットによって利益が出る体質へと改善すると説明していました。その成果は出ているのでしょうか?

助成金でかろうじて黒字化を実現

 2022年3月期の大戸屋の売上高は前期比16.7%増の188億3400万円、5億9400万円の営業損失(前年同期は33億4300万円の営業損失)を計上しました。売上高はやや上向いているものの、コロナ前の水準には届いていません。

 大戸屋はこの期に19億1000万円の純利益(前年同期は46億6900万円の純損失)を出していますが、これは助成金収入22億1200万円を得たため。新型コロナウイルス感染拡大の影響から抜け出すことができず、本業では利益が出ていません。

 注目したいのは2023年3月期の業績予想。売上高を前年同期比33.6%増の251億6300万円、14億500万円の営業利益を計画しています。予想通りに着地すると、営業利益率は5.6%となります。買収前3期の営業利益率の平均は2.3%。本業で稼ぐ力を表す営業利益率を、買収前の倍以上に引き上げる野心的な目標を掲げているのです。

計画通り原価率を下げることに成功?

大戸屋 コロワイド

業績推移。※決算短信より筆者作成

 大戸屋の2022年3月期の原価率は42.3%。買収前の2020年3月期の原価率43.8%から1.5ポイント抑制しています。コロワイドは牛角だけでなく、かっぱ寿司やフレッシュネスバーガー、ステーキ宮などさまざまな業態を傘下に収める巨大外食企業です。仕入れや物流を統合することにより、食材の調達費を下げたものと考えられます

 また、店舗オペレーションの簡素化にも成功しています。買収直後の2020年11月の料理の平均提供時間は10分41秒でした。2022年3月期は10分6秒、35秒短縮しています。店舗オペレーションを短縮できれば人件費を抑制できます。人件費率は2020年3月期の29.1%から28.6%まで0.5ポイント下がりました(2022年3月期 決算説明会より)。

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