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不動産業界「ファックス文化」に“変化の波”。ハンコ、印紙税…業者の本音は

ビジネス

ファックス文化が残る業界事情

契約

 松岡さんがオンライン化を手放しで喜べないのには理由があります。

 まずは、人出不足の問題です。2021年3月時点で、全国にある不動産業者の数は約12万7000社。これは、コンビニや薬局の約2倍に相当し、いかに不動産業者だらけであるかがわかります。約12万7000社のうち、従業員が5人未満の業者84%を占めており、オンライン化のための準備に割ける人手には限りがあるのです。また不動産業界のとある習慣もオンライン化浸透の壁になっています。

「業者間では書類をファックスで送ることが多く、メールやチャットツールでの送付が当たり前ではありません。不動産取引では基本的に、申し込みの先着順で処理されるため、スピード勝負の世界です。そのため、番号を入れて送るだけのファックスのほうが、利便性が高いんですよ。

 メールの場合、特に初めての送り先の場合はアドレス入力の手間がありますし、相手の担当者がプリントアウトする必要もあり、ファックスよりも余計なステップを踏まないといけませんから」

法改正後も紙の契約書を続ける企業も

 また松岡さんは「オンラインでの契約書締結をいきなり行うのはきつい」と話します。

「これまで、重説はネットを使って行ってきました。ただ重説は契約締結前の確認作業ですし、法的効力がありません。対して契約書は法的効力を持つ重要な書類なので、お客様と対面で何度も確認を行ったうえで署名、捺印をしていただいてきました。

 オンラインで契約が完結するのは便利ですが、抵抗を感じるお客様もいらっしゃるのではないでしょうか。少なくとも私が勤務する会社では、法改正後も紙の契約書で契約を交わす方針です

 個人情報が多く含まれる契約書を扱うには、パソコンのセキュリティーをしっかりとする必要もあります。前述の通り少人数の業者が多いため、システムを担当できる人材確保は課題です。

 では不動産取引のオンライン化はイマイチなのかといえば、そんなことはありません。これまで対面でないとできなかったことがオンラインで可能となったことで、店舗を構えない「ネット不動産」がどんどんと生まれてくるのかもしれません。

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