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育休取得率「5年連続100%」企業の社員も…「収入減が不安」のリアルな声

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 育児・介護休業法の改正法案の成立によって、今年4月から男性の育児休業(育休)が義務化され、男性が育休を取りやすくなりました。育休と聞くと女性が取得するものといったイメージが強いですが、本来は男性も利用できる制度です。

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※画像はイメージです(以下同じ)

 そもそも育児・介護休業法の目的は「出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにする」こととなっています。しかし厚生労働省の「雇用均等基本調査」で直近2020年の育児休業取得率を見ると、女性が81.6%に対して男性は12.65%と大きな差が開いています。男性の取得率は過去最高ではあるものの、活用しきれているとはいえない状況。

 育休を取得した男性に、育休を取ってよかったこと、反対に不安に感じたことなど、育児・介護休業法の目的を振り返りつつ、実際のところを聞いてみました。

個人への呼びかけから法律化へシフト

 女性活躍をうたう政府は「2025年までに25歳〜44歳の女性の就業率を82%へ引き上げる」との目標を立てています。そのため、男性が子育てに関わりにくい環境が続いては困るわけです。そこでママと同じく子育ての当事者であるパパが育休を取りやすくする環境を整備する法案が議論され、前述のように成立に至りました。

 これまでは政府は「育休を取ってくださいね」と個人への呼びかけに終始していました。しかし、職場の空気を気にしたり、そもそも男性が育休を取れることを知らなかったりと、個人の努力だけに頼っては男性の育休取得率を上げられない状況にありました。個人へのよびかけから法律化にシフトすることで、男性の育休取得の後押しができるわけです。

 ちなみに冒頭の「育休の義務化」とは育休の取得を強制するのではなく、企業が男性従業員に対して育休制度の周知を義務づけるという意味です。

育休中の業務担当を図にしてチームに配布

育休

 実際に育休を取得した経験がある男性に話を聞いてみましょう。インタビューしたのは、化粧品・健康食品製造メーカー「株式会社ファンケル」の事業企画部に所属する石川剛司さん(36歳)。石川さんは4歳と1歳の2児のパパで、2021年3〜9月の7か月間にわたって育休を取得。第一子誕生後にも育休を取っており、2人目誕生後も妻と協力して子育てをするものとの意識がありました。

 石川さんが上司に育休取得したい旨を話したのは、妻が妊娠5か月に入ったころ。当時のチームメンバーは4人おり、石川さんの育休の申し出に対して全員が快く受け入れてくれたそう。ファンケルは女性従業員が多く、出産後に女性従業員が育休を取るのが自然な社風がありました

 同社の発表によると、育児休業取得率、育児休業取得後の復職率、育児休業取得後の定着率はいずれも5年連続100%を達成しています。こうしたことから、男性も育休を取得しやすい土壌が整っていました。

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