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バブル以来の高騰で家は買いづらくなる?首都圏の地価は「三極化していく」

暮らし

 9月20日に国土交通省が発表した「都道府県地価調査」(基準地価)では、全国の住宅地の地価が31年ぶりに上昇しました。同調査は各都道府県が発表する毎年7月1日時点の土地の価値のことで、住宅地、商業地、工業地の3つに分けられています。地価が上がったのはバブルが崩壊した時期にあたる1991年以来とあって、話題になりました。

住宅ローン

※画像はイメージです

 とりわけ、東京都や周辺エリアで上昇幅が拡大し、首都圏の住宅需要が堅調であることを示しています。しかし「土地の価値アップ=住宅価格のアップ」に繋がることから、買いづらくなるのではと心配する人がいるかもしれません

 果たして家は買いづらくなるのか。若年層の住まい選びは今後どう変わるのか。東京都渋谷区にある不動産会社「株式会社さくら事務所」の長嶋修さんに聞いてみました。長嶋さんは不動産についての著作が多くあり、ドラマ「正直不動産」の監修を務めた経験を持ちます。

何が住宅を買いやすくしている?

 東京都の住宅地の地価は前年比1.5%上昇と、2021年(0.2%)よりも上昇幅が拡大しています。23区では2.2%、市町村でも武蔵野市(2.6%)や調布市(2.5%)など2%を超えている場所が目立ちました。なぜ東京の地価は上がったのでしょうか。その理由について長嶋さんは「住宅ローンの金利が低く、住宅を買いやすい状況にあること」を挙げました。

「住宅ローン金利は変動金利で0.3~0.4%、固定金利でも1%台前半で推移しています。バブル期には7~8%だったことを考えると、かつてない低金利です。つまり同じ金額を借りても、毎月の返済額が全く違ってきます。仮に銀行から1億円を借りたとしても、バブル期には毎月の返済額が60万~70万円ほどだったのに対し、現在では30万円ほどと返済の負担がまったく違う。それだけ住宅を買うハードルが下がっています」

かつてない低金利と減税措置

住宅ローン

(住宅金融支援機構 「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」より)

 さらに年末のローン残高、もしくは住宅取得価格のうち小さいほうの1%を一定期間減税する「住宅ローン控除」も住宅を買いやすくしました。2022年からは控除の割合が0.7%に引き下げられたものの、買い手からすれば「低金利でローンを組んで、さらに所得税の控除まで受けられる」状態にあることに変わりありません。

 長嶋さんは「東京の住宅価格は高いから下がるのを待ったほうがいいとの考えもありますが」としたうえで、こう続けます。

「今後、住宅価格が下がるとしたら金利が上昇したときでしょう。マンションにしても、戸建にしても、住宅の買い時は価格よりも毎月の返済額で判断するほうが生活には無理がありません。現金で買うのであれば物件価格が下がるまで待つ利点はありますが、ローンを組むのであれば金利が安いうちに購入するほうが良いことになります

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