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「生娘シャブ漬け発言」で大炎上の吉野家が、“本当に守るべきもの”

ビジネス

 4月16日、吉野家ホールディングス(以下、吉野家)の常務取締役であった伊東正明氏が早稲田大学の社会人向け講座で「生娘をシャブ漬け戦略」などと発言して大炎上した。強い批判を受けた吉野家は謝罪し、伊藤氏を常務から解任・契約解除している。

吉野家

吉野家で炎上が続いていますが、そこから何を学びますか?

 さらに5月には、外国籍の学生に対して国籍を理由に企業説明会への参加を拒否していたことが判明。5月10日に謝罪したが、度重なる炎上を受けSNSでは「もう買わない」という声も少なくない。その一方で「味は好きだから食べ続ける」という意見も見られる。

 今回、テレビ番組等メディアを通じて食の魅力を発信する食文化研究家のスギアカツキ氏が、吉野家の一連の騒動と「そこから何を学ぶことができるのか」を考察する(以下、スギ氏寄稿)。

企業体質を疑う炎上の数々

 吉野家の炎上が続いていますね。なかでも衝撃的すぎたのが、常務取締役(当時)の大失言問題。早稲田大学の社会人向け講座において、若い女性を狙ったマーケティング施策を「生娘をシャブ漬け戦略」と笑いながら何度も発言したことが、受講者のSNS投稿によって明るみになり、日本中、いや世界中の多くの人々を不快にさせました。私もこのニュースを知ったとき、ただただ唖然としてしまいました。

 実はこういった問題は初めてではありません。2022年だけでも「お名前入りオリジナル丼」キャンペーン関連の問題や、新卒向け説明会での参加拒否問題など、吉野家の企業体質を疑うトラブルは人々の記憶に刻まれて続けています。もう、残念としか言いようがないし、暗い気持ちになるばかりです。

 でも、このようなニュースを知ったとき、ただ不快になるだけだともったいないですよね。自分の中で冷静に解釈して、プラスに昇華できれば、理不尽なニュースも糧として受け止められると考えます。そこで今回は、私が素直に感じたことや習得したことをお伝えします。みなさんのヒントになれば幸いです。

牛丼は悪くない。では、問題は?

吉野家

吉野家の牛丼特盛を注文。がっつりいただきました

 まずは単純に、近所の吉野家(都内某店舗)を訪問。心を冷静にして、牛丼特盛(税込み778円)を注文してみました。注文後1分で牛丼が到着。やっぱりものすごく早い! すぐにあたたかい牛丼が運ばれてきたことは、思いのほか満足度を高めてくれるなと確信しました

 そして食べてみると、やっぱりシンプルにおいしいし、玉ねぎの食感といい、味付けといい、私は吉野家の牛丼が一番好みのテイストであると実感しました。

 そうです、牛丼は悪者ではありません。問題なのは、(経営陣を含む)作り手のふるまい、対応、言動、コミュニケーションにあります。「今のご時世だから」というわけではありません。時代は関係ないのです。

 企業の姿勢は必ずやサービスや商品にも現れるもの。SNS時代になってからはそれが特に明るみになりやすくなっただけのことです。モノづくりはモノだけが大事なのではなく、作り手の姿勢や心こそがもっとも大事。これは絶対におさえたいポイントです。

 ですから、心を込めて何かをするという行為は、公私問わずに結果を生むことを忘れてはなりません。吉野家からはそんな超基本的な心得を、再確認させてもらえたと私は考えました。

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