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脱毛サロン「キレイモ」金銭トラブルはなぜ起きた?背景に“広告費のかけすぎ“も

ビジネス

人気タレントの起用など…過大な広告宣伝費

 過大な広告宣伝費も経営状況悪化の要因です。

 キレイモは、イメージキャラクターとして、2014年の1号店オープン時には板野友美氏を、2018年には渡辺直美氏を起用しています。渡辺美氏は2019年のCM女王でもあり、CM一本のギャラは数千万円と報じるメディアもあります。CM制作費総額や、契約料を含めるとさらに巨額になることでしょう。

 同じ渡辺直美氏をCMに起用しているアサヒビール株式会社の資本金は2200億円。同じく人気タレントであるローラ氏を起用している美容業界大手・TBCグループ株式会社は7億8000万円。どちらも、財務基盤が盤石であることがわかります。

 一方、キレイモ(株式会社ヴィエリス)の資本金は3000万円。財務諸表が公開されていないため、自己資本がどのくらいかはわかりません。しかし、今回の資金繰り難を考慮すると、財務基盤が脆弱なのは間違いないでしょう。美容業界の特質を考えると止むを得ない面もありますが、身の丈を超えた広告宣伝費だったのではないでしょうか。

 売上の減少、巨額な広告宣伝費の支払。当然、資金繰りは厳しくなります。

サービス業にありがちな資金認識の甘さ

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※イメージです

 キレイモの水沼智博現社長は、給料支払いの「遅延」謝罪メールを、給料日前日に従業員に送っています。

「新型コロナの影響により、経営状況、資金繰り状態が悪化しております。新規顧客の獲得などからの、資金調達に全力で取り組んでおります

 このメールで気になるのは『新規顧客の獲得などからの』という文言です。新規顧客からの入金は、その顧客に「これから」サービス(役務)を提供するための原資です。従業員の「過去の」給料の支払いにあてて良いものではありません。会計的には、売上ではなく負債(前受金)として扱います。

 なぜか? “目的外に使わないため”、“いずれ必要となるお金だと認識し続けるため”です。もし、この新規顧客が解約したら、また返金遅れを繰り返すことになりかねません。

 こういった、資金面の甘い認識はキレイモに限りません。塾や資格学校など顧客が「前払い」する業種は、製造業や小売業に比べ資金繰りがラクです。しかし、ラクだからこそ油断し、資金繰りに失敗する経営者は少なくないのです。

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