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台湾企業から18億円の配当がある「新潟のせんべい会社」の正体。ゆるく見えて素はマジメ

ビジネス

「たのすぃー」「おいすぃー」「たまりません」ーー。おせんべいに不似合いな白いパッケージの表面をうごめく、ナゾのゆるキャラたち。

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バンザイ山椒パッケージ/左:外装 右:個包装(筆者撮影)

 岩塚製菓株式会社(以下 岩塚製菓)の「バンザイ山椒」です。ゆるキャラは、外側だけでなく中の個包装にも。年末には「煩悩」、受験シーズンには「願いよ叶え」、などと季節感(?)あふれたメッセージを発しつつ、うごめいています。この「ゆるかわ」パッケージと、ピリッとした山椒の味が相まって、SNSで大きな話題となりました。

 じつは岩塚製菓は、商品キャラクターの「ゆるさ」からは想像できない「苦労」をしてきた会社です。1947年、新潟の岩塚村(現 越路町)にて創業。「冬に出稼ぎをしなくても、村の暮らしが成り立つようにしたい」というのが創業理由でした。切迫した状況だったのです。

「苦労人」であることをまったく感じさせない、「バンザイ山椒」のだらけっぷり。他の米菓メーカーとはひと味違う岩塚製菓を、中小企業診断士の筆者が解説します。

現場の意見から生まれたバンザイ山椒

 バンザイ山椒は、もともとコンビニ向けに開発された商品でした。

「コンビニで売るなら、こんなイラストがいい」。ゆるいキャラクターコンセプトは営業サイドの要請によるものです。これをうけ、デザインイメージの大半を社内で作成。ゆるキャラデザインが奏功し、販売直後、同社のツイッターは「バンザイ山椒」で埋め尽くされることになりました。

 しかし、コロナ禍でコンビニの売上が低迷してしまいます。そこで、2021年3月に個包装化し、スーパー向けに転用したところ、再ブレイク。20代が購入者の多くを占めるなど、これまでと異なる顧客層の取り込みに成功しています。

 個包装のイラストは、季節に合わせ随時変更しているとのこと。現在は「豆も好きです」「たぶん北北西」など節分向けのイラストとメッセージがデザインされています。相変わらず、ゆるいキャラクターたちが生き生きとうごめいています。営業現場からの風通しがよく、柔軟さも持ち合わせている岩塚製菓。どのような会社なのでしょうか。

立往生するドライバーに配られた

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岩塚製菓ツイッターより

 岩塚製菓と言われてもピンと来ない。おせんべいメーカーの名前なんてほとんど知らない。そういった人も多いはず。しかし、2020年末の大雪に見舞われた関越自動車道の件を覚えている人も多いのではないでしょうか

 2020年12月16日、大雪により多くの車が立ち往生した関越自動車道。あるトラックドライバーが「食料代わりに」と積荷のおせんべいを、周辺ドライバーに配ったことが話題になりました。配られたのは岩塚製菓の商品です。おせんべいを受け取ったドライバーの感謝のツイートは、大きな反響を呼びました。

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