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台湾企業から18億円の配当がある「新潟のせんべい会社」の正体。ゆるく見えて素はマジメ

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原材料への強いこだわり

 岩塚製菓は、亀田製菓株式会社、三幸製菓株式会社に次ぐ業界売上3位の米菓メーカーです。「スーパーで、お手頃価格で、美味しそうなおせんべいを探すと、岩塚製菓に辿り着く」。筆者は岩塚製菓の商品にそんな印象を持っています。

農産物の加工品は、原料より良いものはできない。だから良い原料を使用しなくてはならない

 岩塚製菓の決算説明資料に記される、原材料へのこだわりです。

 おせんべいの多くは、海外の米を混ぜたブレンド米を原材料に用います。亀田製菓も主力商品(「亀田の柿の種」「亀田の曲がりせんべい」など)を除き、日本・アメリカ・タイ米のブレンド。三幸製菓もブレンド米を用いています。

 一方、岩塚製菓はブレンド米を用いません。全商品、国産米100%です。全商品国産米を用いているのは、米菓メーカー上位10社中、同社含め2社だけです(岩塚製菓 2020年度決算説明資料より)。

本業利益がわずか800万円のときも

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岩塚製菓プレスリリースより

 国産米100%だと、風味がよくなる半面、デメリットもあります。コスト高です。

 岩塚製菓の原価率は66%。亀田製菓の53%に比べ、はるかにコストが高い(2019年度決算 単体ベースにて比較。コロナの影響を除外するため、2019年度決算値を使用)。おせんべいの原価は原材料が約半分を占めます。高い国産米を使うことが原価を押し上げていると言えます。

 原価が高い。では利益はどうでしょうか。案の定、 岩塚製菓の本業の儲けを表す「営業利益」は、約800万円しかありません(2019年度 連結値)。品質を追求した結果とはいえ、このわずかな儲けで、借入の返済や、利息の支払などができるのでしょうか?

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