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台湾企業から18億円の配当がある「新潟のせんべい会社」の正体。ゆるく見えて素はマジメ

ビジネス

技術指導の恩返しは、毎年の配当金

 できるんです。本業以外の儲け「営業外収益」が莫大だからです。具体的には、所有する株式の配当金「18億円」(2019年度 連結値)。これにより、キャッシュフローに問題は生じていません。

 この配当金は、かつて技術指導した会社からの、いわば「恩返し」です。

 配当元は、台湾出身の中国食品メーカー大手「Want Want China Holdings Limited(中国旺旺控股有限公司)」。技術指導のきっかけは、旺旺(ワンワン)の経営者 蔡衍明(さい・えんめい)氏が、岩塚製菓商品の品質の高さに一目ぼれしたことでした。

「この商品を売りたい」

 蔡氏は、岩塚製菓の創業者 故・槇計作氏に技術指導を依頼します。交渉は2年を要するほど難航したものの、1983年から開始。その後、旺旺は急成長し、13年後にシンガポールで上場を果たします。

莫大な配当金を生んだのは“経営姿勢”

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シンガポール川

 蔡氏は、槇計作氏の葬儀の弔辞で以下のように述べています。

「あなたのおかげで旺旺の事業は大成功しました。(中略)やっぱりあなたは、旺旺の事業の父なんだと深く心に刻みました」(『日本のものづくりが中国を制す』PHP研究所 より)

 事業の父。故・槇計作氏への感謝は大きなものでした。上場の段階で、岩塚製菓が投資した設備や機械などを株式に転換。以降、岩塚製菓は旺旺の株主となります。この株式と毎期の莫大な配当金は、いわば、かつての指導の「恩返し」です

 通常、本業ではなく配当で儲けている会社というと、あまり印象はよくありません。しかし、旺旺との縁は、岩塚製菓の「品質」を追求する経営姿勢がもたらしたもの。旺旺の急成長は、丁寧な指導と旺旺の熱意がもたらしたもの。岩塚製菓の受け取る配当は、むしろ「本業」と言ったほうが近いのかもしれません。

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